尿失禁・尿漏れの種類とその症状・原因・治療

目次

 

 

 

日本では欧米に比べ尿失禁への取り組みが遅れていましたが、女性の社会参加の機会が増えたことなどを背景に、真剣な対応が始まっています。

 

尿道周囲の筋肉の衰えや、排尿を調節する神経の障害などで起こる症状です。骨盤底筋を鍛える体操や、薬物療法などで大部分は治ります。

 

尿失禁・尿漏れの種類

 

尿失禁・尿漏れの症状・原因・治療

 

女性に多いのは腹圧性と切迫性

 

尿失禁とは病名ではなく、排尿を意図しないにもかかわらず尿が漏れ出てしまう状態をいいます。

 

尿失禁・尿漏れの症状は女性に多く、40歳以上の中高年になると軽いものを含めて2人に1人が経験しているといわれます。

 

 

いろいろな種類がありますが、女性の尿失禁といえば、咳やくしゃみをしたときに尿が漏れる「腹圧性尿失禁(緊張性尿失禁)」と、尿意を感じてからトイレまでの間に漏らしてしまう「切迫性尿失禁」と考えてよいでしょう。

 

前者が約7割、後者が約3割なので、ほとんどの人はどちらかに入ります。そのうち3割り程度は両者の混合型ではないかと推測されています。

 

 

次いで多いのは、膀胱内に尿が充満して少しずつ漏れる「溢流性尿失禁(いつりゅうせい)」で、1%程度を占めています。

 

そのほか、「反射性尿失禁」「完全尿失禁」「尿道外尿失禁」などがあります。

 

 

複数の医療機関が、病気や妊娠などで産婦人科を受診したすべての人を対象に尿失禁の有無を質問した結果ですが、おおむね「3~4割は尿失禁・尿漏れの経験をもっているが、治療を受けたことのある人はごく一部」といったところです。

 

この結果から、日本では約500万人の女性がひそかに尿失禁で悩んでいると推察されています。

 

 

 

排尿の仕組み

 

脳、神経、泌尿器が複雑に連携

 

腎臓から送られてきた尿は膀胱に一時貯蔵されます。膀胱は伸縮性に富んだ筋肉の袋で、排尿時以外の蓄尿期には、膀胱の出口である内尿道口が閉じて尿を漏らさないようにしています。

 

尿道の周囲は、水道栓のように尿を出したり止めたりすることができる尿道括約筋で取り囲まれており、この筋肉が蓄尿期の尿漏れを防ぐ強力なストッパーの役目をしています。

 

 

膀胱にたまった尿を出すときは、膀胱全体が収縮すると同時に内尿道口が開き、尿道括約筋が緩みます。

 

蓄尿期は逆に膀胱が弛緩し、内尿道口は閉鎖されて尿道括約筋も収縮しています。

 

 

蓄尿と排尿の切り替えは、脳幹部の橋(きょう)にある神経や脊髄の下部にある仙髄がコントロールしています。

 

膀胱内の尿が200mlほどになると、その情報が仙髄を経て大脳皮質に伝わり、尿意として意識されます。

 

 

情報をもらった大脳は、自律神経のひとつである交感神経を介して脳幹を刺激し、いったん排尿を抑制します。

 

トイレに入り、便座に腰掛けるなどして排尿環境が整うと、再び脳幹に情報が伝わり、それまでの抑制命令は解除され、膀胱が収縮して尿道括約筋は弛緩します。

 

さらに腹筋の緊張などによる腹圧が加わって、尿は体外に流出するのです。

 

 

わたしたちが尿意を感じてからある程度の時間、排尿をがまんしていられるのは、このような機能が働いているからです。

 

乳児は神経系や膀胱機能が発達していないので、尿がたまるとすぐに膀胱が刺激され、反射的に尿が出てしまいます。

 

 

このように、排尿は脳と神経、泌尿器の複雑な連携で行われています。

 

尿失禁は、膀胱や尿道括約筋の働きがよくなかったり、位置関係に異常があったり、排尿にかかわる神経系のどこかに障害が生じると起こります。

 

 

女性に尿失禁・尿漏れが多いのは、尿道が男性の16~20cmに比べて4~5cmと短く、その分ストッパーとしての尿道括約筋の力が弱いからです。

 

出産後の女性に多いのは、排尿に関係する骨盤底筋群が弛緩してしまうためです。

 

女性の膀胱周辺の構造

 

女性の膀胱周辺の構造

 

尿は左右にある腎臓で生成され、尿管を通じて膀胱に送られます。

 

膀胱で尿が蓄えられ、尿量がある程度になると、尿道を通って外尿道口から排泄されます。

 

 

 

尿失禁・尿漏れの診断

 

問診、排尿日誌、検査の3本立て

 

最初に行われるのは問診です。どんな場合に失禁するか、起こりやすい時間帯、頻度、量、随伴症状、発症時期など失禁そのものへの質問のほか、服薬状況やほかの病気の有無、過去の手術や放射線療法の内容、出産回数、月経の有無なども聞かれます。

 

これに尿道や肛門の収縮力を調べる内診や直腸診の所見を加えると、尿失禁の種類や日常生活への支障の程度がだいたいわかります。

 

 

さらに1~7日間にわたり、すべての排尿の時間と量、失禁した時間と状況、水分摂取量などを記録する「排尿日誌」が求められます。

 

膀胱の大きさや排尿の詳細が把握でき、診断や治療方針を決める際の有効な情報になります。

 

 

確定診断は、各種検査を実施したうえで行います。

 

代表的な検査は「ストレステスト」です。あらかじめ膀胱を充満させておき、咳などで腹圧をかけて漏れの状況を調べたり、膣に指を入れて尿道をつり上げたり、いきませたりします。

 

 

重症度の判定には、国際尿禁制学会(ICS)が勧める「尿失禁定量テスト(パッドテスト)」が用いられます。

 

患者はパッドを装着し500mlの水を飲んでから、階段の上り下りなど決められた動作を行います。

 

 

1時間後、パッドの重量が2~5g増えていれば軽度の尿失禁、10g以上は重度、その間は中等度と判定されます。

 

このほか、膀胱と尿道の角度など位置関係をみるX線検査、尿の流れや膀胱・尿道の内圧を測定する尿流動態検査、膀胱鏡検査などが行われます。尿路感染症や膀胱がんを除外するために、尿検査も必要です。

 

症状からみた主な尿失禁・尿漏れの分類

 

症状からみた主な尿失禁の分類

 

 

尿失禁・尿漏れの症状・原因・治療

 

 

尿失禁・尿漏れの原因となる病気一覧

 

 

 

 

切迫性尿失禁

 

知覚性の切迫性尿失禁を起こす病気

膀胱炎、膀胱がん、膀胱結石、子宮筋腫、骨盤内腫瘍の膀胱浸潤、高血圧、妊娠末期(28週以降)

 

運動性の切迫性尿失禁を起こす病気

脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、脊髄損傷(不完全型)

 

 

 

 

 

溢流性尿失禁

 

 

 

 

膀胱収縮力を低下させる病気

子宮がんまたは直腸がんの手術後の神経損傷、外傷による脊髄損傷や排尿に関係する神経の損傷、脳卒中後遺症、糖尿病、尿毒症、シャイ・ドレーガー症候群、重金属中毒、慢性アルコール中毒、うつ病、統合失調症、ギラン・パレー症候群、二分脊椎、脊髄ろう、脊髄腫瘍、トランキライザーなどの内服

 

尿道の開きを障害する病気

子宮脱、膀胱膣脱、尿道瘤、尿道弁、尿道結石、尿道がん、骨盤内腫瘍、脊髄腫瘍、椎間板ヘルニア

 

 

その他の尿失禁の原因・治療

 

尿意がまったくない失禁も

 

反射性尿失禁

尿意がないのに膀胱が勝手に収縮して失禁するもので、尿意がない点が切迫性尿失禁と異なっています。

 

溢流性尿失禁と同じく脊髄を損傷した人にみられますが、溢流性とは違い、膀胱尿道支配神経に障害を負った場合にこの症状が現れます。

 

膀胱がいっぱいになると、わずかの刺激でも反射的に排尿してしまいます。

 

完全尿失禁

手術や分娩、外傷などによって尿道括約筋が障害され、膀胱にまったく尿がたまらなくなるもので、つねに尿がたらたらと流れ出る状態をいいます。

 

尿道外尿失禁

先天的な性器奇形のほか、骨盤内手術や放射線療法などによって尿管が膣に通じてしまったために、尿道以外から尿が漏れ出る現象です。手術によって尿道から排尿されるようにします。

 

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