止血法による応急処置

目次

 

 

 

外傷による多量の出血に対しては、止血が救命の大きなポイントとなります。医療機関への搬送を手配する一方で、止血を急ぎましょう。

 

止血法の基本

 

圧迫止血をする

 

圧迫止血1

 

患部にガーゼや清潔な布・タオルなどを直接あてがって、その上から手で強く圧迫します。

 

直接圧迫法は、傷口がそれほど大きくないときや、細い血管からの出血に対して有効です。

 

 

圧迫止血2

 

傷口を圧迫したまま、患部を心臓よりも高く上げるようにし、出血量を減少させます。

 

頭部に出血があるときは、枕などで頭部を高くします。

 

 

圧迫止血3

 

腕や足の出血で出血量が多く、直接圧迫法を行っても止血できないときは止血帯法を行います。止血帯の使い方は右図のように、傷口から心臓寄りのところに布を二重に回します。

 

結び目に頑丈な棒をあてて強く締めましょう。

 

 

圧迫止血4

 

止血帯を締めつけた時刻を、患者の額や止血帯などに明記しておきます。

 

止血帯はあくまでも医療機関へ搬送するまでの応急処置です。長時間そのままにしておくと危険です。

 

 

指圧止血と止血点

 

指圧止血と止血点

 

直接圧迫法で止血できないときや、止血帯を施すまでの間は、止血点を指で圧迫する指圧止血を行います。指圧止血は、患部よりも心臓に近い動脈を、指で骨に向けて強く押さえる方法です。

 

力をゆるめると効果がなくなるので、いったん押さえたら力をかけ続けます。

 

 

 

 

注意事項

 

■止血帯は時折ゆるめる
止血帯を締めつけたままにしておくと、その部位の組織が壊死してしまうことがあります。医療機関に搬送するまで時間がかかる場合は、20~30分おきに止血帯を少しゆるめて血液の循環を図ります。ゆるめたときには、指圧止血で出血を抑えます。

 

 

■患部に脱脂綿やティッシュペーパーをあてない
直接圧迫法は、患部にガーゼや清潔な布・タオルをあてがうのが原則です。脱脂綿やティッシュペーパーは繊維が傷口に付着して化膿を促すこともあるので、絶対に使用しないようにしましょう。

 

止血法と止血のポイント

 

外傷を負って、多量の出血がみられるときは、止血が応急処置の重要なポイントになります。ときには、止血の遅れが、生命を左右することもあります。

 

出血が多いときは、消毒よりも止血を優先させます。止血時の注意点としては、まず患者をむやみに動かさないことがあげられます。また、受傷直後はからだを保温することを避けます。

 

 

患者の血液に手が直接触れると、病原体に感染する可能性もあるので、布やビニールなどで手を保護してから止血を行いましょう。

 

止血法としては、圧迫止血が最も一般的な方法です。出血している部位に、ガーゼや清潔な布・タオルなどをあてて直接圧迫する方法を直接圧迫法とよびます。

 

 

傷口がばっくりと大きく開いているようなときは、ガーゼを埋め込むようにして圧迫止血をします。布・タオルをあててもどんどん血がにじんでくるときは、布を重ねて包帯で固定します。

 

患部を心臓よりも高く上げると、出血量を減少させることができます。静脈や、細い血管からの出血であれば、たいていは患部を上げる方法で治まるものです。

 

 

直接圧迫法でも出血が治まらないときには、指圧止血を行います。部位ごとの止血点を覚えておくようにしましょう。

 

止血帯は1時間が限度

 

応急処置を施してもなかなか出血が治まらないときは、止血帯を用います。出血部位よりも心臓に近い部分に布を二重に回して結び目をつくり、そこに頑丈な棒をあててもう一度結びます。

 

棒を回すと、締めつけることができるので、出血が治まるまで締め続けましょう。止血できたら、そこで棒を固定します。

 

 

多量の出血に対して、止血帯は非常に効果的です。ただし、この方法はあくまでも救命措置で、長時間このままにしておくことはできません。止血帯を締めたままにしておくと、組織が壊死してしまいます。

 

止血帯を締めておく限度は1時間程度です。その間にも1~2回は止血帯を少しゆるめるようにしましょう。ゆるめるときには指圧止血をして、出血を最小限に抑えます。壊死が始まると皮膚が紫色になってくるので、注意が必要です。

 

 

止血帯を締めた時刻を、必ず明記しておくようにしましょう。また、細かいひもや針金などで縛ると皮下組織や神経を傷つけることになるので禁物です。

 

包帯やガーゼがないときに、身の回りの物で止血に役立つのは、ふろしき、ネクタイ、スカーフ、マフラー、タオル、手ぬぐい、ハンカチ、ベルトなどです。

 

 

止血を施したら、早急に医療機関に搬送します。

 

多量の出血をもたらす外傷は、骨折を伴っているケースも少なくありません。骨折していて圧迫止血ができないときは、最初から止血帯を用います。骨折している部位には板や段ボールなどをあてがって、関節が動かないようにしっかりと固定します。

 

出血の危険度の目安

 

動脈からの噴き出るような出血がある場合は、放置しておくと非常に危険な事態を招きかねません。だいたい400~500mlの出血があると、血圧が下がってショック状態を招きます。

 

ショックというのは、急激に全身の血液循環不全が起こり、臓器や組織に十分な血液がいきわたらなくなって引き起こされる状態です。さまざまな機能不全を招き、死亡する危険も伴います。

 

 

多量の出血によって引き起こされる循環血液量減少性ショックは、出血性ショックと血漿の漏出に分けられます。出血性ショックは、主に外傷や消化管からの出血が招くケースです。血漿の漏出は、熱傷や腹膜炎などによって現れます。

 

多量の出血がみられるときは、とにかく止血を急いで、ショックを回避します。内出血の場合は、患部の腫れで危険度をチェックします。

 

握りこぶしぼどの腫れで、500mlほどの出血があると推察されます。腹部を強打して腫れてきたときは、内臓破裂による大出血が疑われます。大至急、医療機関に搬送しましょう。

 

 

頭部の出血の応急処置

 

交通事故や転落事故、あるいは打撲などで頭部出血を招くケースがよくあります。交通事故による頭部外傷の場合は、頸椎や腹部など、からだのほかの部位も損傷を受けていることが多いものです。

 

また、転落事故の場合は、骨折を伴っていることも少なくありません。

 

頭部に出血があるとき、周囲の人は落ち着いて、まず止血を優先させ、さらにからだの状態を観察するようにしましょう。頭部には数多くの血管が分布しているため、外傷を受けたときには、多量の出血を引き起こすことがあります。

 

 

直接圧迫法では止血できない場合は、指圧止血を行います。額やこめかみから出血があるときは、手の小指側でこめかみを圧迫します。

 

前頭部や顔面、あごから出血しているときには、首の頸動脈が触れるところを圧迫します。ほおやあごの出血に対しては、下顎の前方の脈が触れる部分を圧迫しても効果的です。ただし、長時間続けると意識障害を起こす危険があります。

 

あくまでも一時的な応急処置であることを忘れないようにしましょう。

 

スポンサーリンク