高齢者が転倒したときの応急処置

目次

 

 

 

高齢者の転倒事故は、骨折につながりやすいものです。骨折が疑われるときは、受傷部位を安静に保ち、できるだけ早く病医院へ連れていきましょう。

 

高齢者が転倒したときの応急処置

 

高齢者が路上で転倒したら

 

高齢者が転倒したときの応急処置1

 

倒れている高齢者を助け起こし、落ち着くように話しかけます。

 

そして、一人が膝を持ち、もう一人が腋の下を支えて、安全な場所へ移動させましょう。

 

 

高齢者が転倒したときの応急処置2

 

痛みがないかどうか尋ねて、怪我の状態を調べます。

 

出血しているときはハンカチなどで傷口を強く押さえて止血し、痛む部位は水でぬらしたタオルなどで冷やします。

 

 

高齢者が転倒したときの応急処置3

 

痛む部位が腫れたり変形しているときは骨折の可能性があります。

 

手首の場合、新聞紙を折ったものや週刊誌を肘から手首にあてがい、ハンカチなどで縛って固定します。

 

 

高齢者が転倒したときの応急処置4

 

腰痛を訴えるときは、硬い平らな場所にあおむけに寝かせ、両膝を立てて衣服などを入れます。

 

立つことができないときは安静を保ち、救急車をよびましょう。

 

 

意識がはっきりしないとき

 

意識がはっきりしないときの応急処置1

 

声をかけてもぐったりとして返事をしなかったり、ぼんやりしているときは、頭を強く打っている可能性があります。

 

安全な場所へ移動させてから、あおむけに寝かせ、衣服をゆるめ保温します。

 

すぐに救急車をよび、到着を待つ間に意識の状態を調べましょう。

 

腕などを強くつねっても反応がない場合は、患者の鼻と口にほおを近づけて呼吸の有無を確認し、呼吸をしていないときは、一方の手を額にあて、他方の手であごを押し上げて気道を確保し、人工呼吸をします。

 

 

呼吸をしているようなら、からだの右側を下にして横向きに寝かせる昏睡体位をとらせましょう。

 

 

 

 

注意事項

 

■転倒事故は骨折に結びつきやすいものです。特に高齢者では、転んでしりもちをついた拍子に脊椎(背骨)や大腿骨を骨折したり、手をついたときに手首の骨を折るケースが少なくありません。患部の安静を保ち、できるだけ早く外科か整形外科に搬送しましょう。

 

■高齢者の場合は聴力が低下していることが多いので、耳元でできるだけ大きな声で話しかけるようにしましょう。

 

転倒が起こりやすい状況

 

一般に高齢者は、転倒事故を起こしやすいものです。年をとると、からだの平衡機能が低下してふらつきがみられたり、筋力が衰えて歩行が小刻みになり、物につまずくことが多くなります。

 

視力や聴力の低下も転びやすくなる誘因です。高齢者に多くみられる脳血管障害、心臓疾患などの病気、また、変形性関節症といった病気も転倒の引き金になります。

 

 

また、高齢者は睡眠剤、精神安定剤、降圧剤、かぜ薬など、何種類もの薬を服用していることが多く、薬の作用で転倒しやすくなるケースもみられます。

 

適切な使用量が守られているかどうか、家族や周囲の人が注意することも必要です。

 

こうしたさまざまな身体的要素に加えて、若い人にとっては何でもないような外的な要因も転倒事故につながる場合があります。

 

屋内では、部屋の敷居やわずかな段差、床に放置した本、毛足の長いじゅうたん、畳やじゅうたんのほころびなどにつまずきやすいものです。部屋の隅や廊下の暗がりも危険です。

 

 

屋外では、歩道と車道の境目にある段差につまずいたり、横断歩道を急いでわたろうとしているときに転倒事故が起こりやすいものです。

 

高齢者の転倒に伴う危険

 

高齢者は骨粗鬆症が進んで骨がもろくなっているため、転倒によって骨折を起こすケースが少なくありません。

 

特に高齢者が骨折しやすい部位は、手首の部分の橈骨末端、脊椎(背骨)、太もものつけ根の大腿骨頸部とされています。

 

いったん骨折をすると、治った後も杖や車椅子の使用などのために、骨折前と比べてQOL(生活の質)が低下することが多いものです。大腿骨頸部を骨折すると、立ったり歩いたりすることができなくなるため、入院治療が必要になります。

 

その結果、骨折の治癒後も寝たきりの状態が続き、心身の機能が低下して、認知症につながる場合があります。

 

骨折をしなかったときでも、再度の転倒をおそれるあまり、行動範囲が狭くなったり、活動性が低下する転倒後症候群に陥り、心身の健康が損なわれるケースもみられます。

 

また、転倒を繰り返すときは、パーキンソン病などの神経疾患を発症している可能性が考えられます。高齢者が転倒したら、周囲の人はすみやかに病医院へ連れていきましょう。同時に転倒事故を防ぐために、高齢者本人はもちろん、周囲の人も十分な配慮が必要です。

 

転倒を防ぐ室内環境

 

高齢者の転倒事故は、家の中で起こるケースが少なくありません。室内環境を整えておけば、事故を未然に防ぐことは十分に可能です。住宅を改造する場合、助成金が交付されるケースもあるので、地域の自治体の福祉窓口などで相談してみるとよいでしょう。

 

【廊下、階段】

物はなるべく置かず、歩くスペースをできるだけ広くとるようにします。部屋と部屋、部屋と廊下の境目に段差があるとつまずきやすいので、敷居をとりはずしたり、スロープをつけるとよいでしょう。玄関の上がり口が高い場合にも、スロープや踏み台を設置します。

 

廊下にワックスをかけるときは、塗った直後は滑りやすいので注意が必要です。可能であれば、床材を滑りにくいコルク材などに変えたり、床にも絨毯(じゅうたん)を敷くとよいでしょう。廊下や階段には手すりを設け、暗がりをなくして室内との明暗差を解消するために照明を整備することも必要です。また、スリッパは避けて、ゴム底の室内履きなどを利用するようにしましょう。

 

【部屋】

室内は常に整理整頓を心がけ、床に物を放置したり、不要な家具などを置いたりしないようにします。コード類はガムテープなどで床に固定します。フローリングの床は滑りやすいので、絨毯を敷いたほうがよいでしょう。また、床に水などをこぼしたら、すぐにふきとるようにします。

 

【ベッド】

ベッドに腰かけたときに足が床につく高さのものがよいでしょう。また、ベッドの周囲は常にきちんと片付けておきましょう。

 

【浴室、トイレ】

浴室の洗い場には専用の滑り止めマットを敷きます。浴槽のふちは低めがベストですが、浴槽の内外に踏み台などを固定して、いったん腰かけられるようにしてもよいでしょう。また、浴室とトイレの壁には手すりをつけます。

 

 

転倒事故を防ぐために、高齢者自身が心がけること

 

高齢になると筋力が低下し、転倒が起こりやすくなるので、まずは筋力を維持するように努めましょう。

 

そのためには、散歩を日課にしてこまめに歩くようにしたり、積極的に外出するように心がけることが大切です。また、身の回りのことはできるだけ自分でするようにし、からだを動かす習慣をつけましょう。

 

 

乳製品や小魚を食事にとり入れてカルシウムを十分にとることも、骨折の予防につながります。

 

ただし、体力や筋力の低下を自覚して、決して無理はしないようにします。

 

 

重い物を持ったり、高い所にある物をとるときなどは、周囲の人にできるだけ積極的に声をかけて手伝ってもらうようにしましょう。

 

また、必要に応じて杖や歩行器、車椅子などを活用します。こうした福祉機器を貸し出している自治体もあるので、地域の福祉窓口で相談してみるとよいでしょう。

 

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