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前立腺肥大症の治療

前立腺肥大症の治療

 


 

症状が軽い早期では薬物療法を行い、経過をみます。残尿が40~50ml以上になったり、夜間頻尿の回数が増えたことで不眠の原因になったりします。

 

尿路感染症があるような場合は、外科的治療が考慮されます。ただし外科的治療の適応ケースでも、循環器障害、重い糖尿病などがあって手術の合併症の危険性が予想される場合は、薬物療法の対象となります。

 

前立腺肥大症の薬物療法

 

目的によって三つに分けることができます。

 

一つは前立腺のむくみや炎症を取るためのもので、花粉エキス、植物エキス、アミノ酸製剤などがあります。

 

どれも内服薬で長期投与が可能ですが、症状緩和は期待できても根本的に治すことはできません。経過をみて症状が重くなるようでしたら、外科的治療法を考えなければなりません。

 

 

二つ目は前立腺を小さくするための薬です。前立腺の成長は主として睾丸でつくられ、血流に乗って運ばれてくるアンドロゲンとよばれる男性ホルモンに依存しているとされています。

 

内服薬は1日1~2回の服用、注射薬は通常1週間に1度通院して筋肉注射をします。

 

薬剤の種類や個人差によって多少のばらつきはありますが、通常は3か月ほど薬物療法を続けると、70~80%の確率で前立腺が縮小します。縮小率は30%ほどといわれています。それに伴って排尿障害もかなり改善します。

 

副作用としては性欲の減退、勃起力の低下があり、およそ5人に1人の割合で現れます。副作用を極力抑えた新タイプの薬剤も登場していますが、副作用のリスクは解消されていませんので、この薬を拒否する人もいます。

 

また、この薬で前立腺が縮小したとしても、薬の投与を中断すると、再び肥大が始まることが多いので、長期にわたって薬を続けるか、もしくは外科的療法を考えなければなりません。

 

 

三つ目は尿道の緊張を緩和させるのを目的とした薬です。前立腺には小さな筋肉があり、射精の際に収縮します。膀胱や尿道にも平滑筋があり、排尿のときに収縮して尿を押し出します。

 

この筋肉の緊張をコントロールしているのが自律神経のうちの交感神経で、アドレナリンというホルモンによってその作用が起こります。

 

このホルモンは筋肉に存在するアルファ受容体と結合してはじめて効果を発揮するのですが、この結合を阻害し、前立腺や尿路の緊張を緩和する薬がアルファ遮断剤です。

 

ただ、アドレナリンは血管の収縮もコントロールしているので、アルファ遮断剤を使うと確かに尿の出はよくなるのですが、一部の薬では血圧が下がって立ちくらみが生じるなどの副作用があります。

 

したがって車の運転や高い所での作業に従事している人は、この薬を使うときは慎重にしましょう。

 

 

この点を改良したのがアルファ1遮断剤です。前立腺および尿路の筋肉でアドレナリンが作用する受容体は1種類だけでなく、アルファ1という受容体も多く分布していることがわかりました。そこでアルファ1遮断剤ができたのです。

 

アルファ遮断剤およびアルファ1遮断剤で、前立腺肥大による排尿障害の65%は改善されると報告されています。

 


 

 

 

 

 

前立腺肥大症の外科的療法

 

肥大した前立腺を切除するための治療法で、内視鏡を使ったもの、開腹をするものなど、いろいろな方法があります。

 

肥大の大きさや形状、合併症の可能性、医師の得意とする手術方式などの条件によって、どの方法を採用するかが決定されます。

 

経尿道的前立腺切除術

 

肥大が100gぐらいまでのものに対して行われているのが経尿道的前立腺切除術という内視鏡手術です。

 

以前は開腹手術を行っていたため患者の負担は大きかったのですが、この方法の登場以来、患者の負担はずいぶん軽減されました。

 

腰椎もしくは硬膜外(髄膜のうちの外層の膜)麻酔をして、切除装置のついた内視鏡をペニス側の尿道口から挿入し、内部の様子を見ながら高周波電流を流した電気メスで焼き切るので出血も少なく、痛みもありません。

 

手術の時間も数十分ですみ、2~3日後には歩けるようになり、入院も平均10日から2週間前後くらいと、開腹手術の約半分になりました。肥大が大きいと輸血が必要な場合もあります。

 

手術後は尿を出すために、尿道にカテーテルを挿入してそこから尿を出すことになりますが、1週間ほどで抜くことができます。退院後は経過を観察するため、2~3か月の間に数回通院しなければなりません。

 

後遺症として逆行性射精、尿道狭窄、膀胱頸部硬化症などがありますが、確率としては低いものです。

 

薬物療法の適応外であれば、最初からこの手術を行うことも珍しくなく、症例も現在では最も多く、信頼性の高い治療法となっています。

 

恥骨上前立腺摘除術・恥骨後前立腺摘除術

 

肥大の大きさが80g以上あり、内視鏡手術では対応できない場合に行う開腹手術です。

 

恥骨上前立腺摘除術は、前立腺の位置している恥骨上にメスを入れ、膀胱を切り開いて患部に到達する方法です。

 

恥骨後前立腺摘除術は膀胱を開けないで、恥骨の後ろ側から患部に到達する方法です。腰椎麻酔で行うことができます。

 

後遺症としては前立腺と一緒に射精管の開口部を切除してしまうので、生殖能力はなくなります。しかし、勃起に関する神経は残せるケースが多く、その場合、性生活に支障はありません。

 

会陰部前立腺切除術

 

肛門と陰のうの間の会陰部から患部に到達する方法です。

 


 

 

 

 

 

前立腺肥大症の保存療法

患部にメスを入れないで保存したまま、いろいろな器具を使い尿道を確保する治療法です。

 

バルーン拡張法

 

直径3cm、長さ5cm程度の風船(バルーン)を外尿道口(尿の出口)からカテーテルを通じて、前立腺部尿道とよばれる部位に送り、風船を膨らませて狭窄を取る方法です。

 

狭窄が再発しやすいという欠点があり、最近は行われなくなってきました。

 

尿道ステント留置法

 

長さ10~15mの金メッキしたコイルを狭窄部に留置して、尿道を確保します。

 

コイルが狭窄部からずれる心配があること、コイルに結石が発生しやすく数年ごとに入れ替える必要があるといった点が改良の余地があるところですが、腎機能の低下した患者などには負担が少なくてすみます。

 

ただし感染を起こしやすいので、すべての患者に行われるわけではありません。

 

温熱療法

 

尿道あるいは直腸を経由してマイクロ波もしくは高周波を患部に照射して、41~44℃ぐらいに温め、肥大した組織を変化させて萎縮させるというものです。

 

薬物療法の適応から外れ、肥大が40gまでの人に施されます。外来で治療でき、無麻酔で、所要時間は1回約1時間です。出血がまったくなく、高齢者にも安心して行えます。

 

ただ、前立腺があまり大きすぎると、エネルギーが中心まで到達しないという問題があります。

 

なお、45℃以上に温める高温度療法も行われるようになっています。エネルギー源として超音波を用いて患部組織を85~100℃まで加熱させる焦点式高密度超音波療法(HIFU)があります。

 

経尿道的超音波ガイド下レーザー前立腺切除術

 

エコー(超音波)画像を見ながら、尿道経由でプローブを患部に近づけ、レーザー光線を患部に照射させる術式です。内視鏡を見ながらする手術は、直視下経尿道的レーザー前立腺切除術(VLAP)とよびます。

 

壊死した患部組織は9~11週間後には吸収されてなくなってしまいます。

 

前立腺肥大の大きさが50g程度までが効果が高いようです。手術時間は10~30分ほど、入院期間も2~3日と大幅に短縮されております。

 

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