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咳やくしゃみをしたときに尿が漏れる腹圧性尿失禁の症状・原因・治療

目次

 


 

【尿失禁】 咳やくしゃみをしたときに尿が漏れる腹圧性尿失禁の症状・原因・治療

 

腹圧性尿失禁の症状・原因・治療

 

軽症なら骨盤底筋訓練法で治る

 

女性患者の約7割を占める代表的な女性の尿失禁で、男性にはまれです。太っている人や便秘がちの人、2回以上出産した人、閉経後の女性に多くみられます。

 

「緊張性尿失禁」ともいいます。

 

腹圧性尿失禁の症状

 

咳やくしゃみをはじめ、大笑い、立ち上がる、走る、重い物を持ち上げる、階段を下りる、走るなどの動作、テニスやウォーキングといった運動などで、急に腹圧がかかったときに起こります。

 

眠った状態では腹圧がかかりにくいため、夜はほとんど心配ありませんが、起き上がったとたんに漏れることがあります。

 

量は、下着にわずかにつく程度から日常生活に支障をきたすものまでさまざまです。

 

腹圧性尿失禁の原因

 

骨盤内臓器を支えている骨盤底筋群が弱くなっていることが主な原因です。

 

年をとると筋肉の張りが失われるのは仕方ありませんが、分娩も大きな影響を与えます。胎児が通過する際に産道が押し広げられ、すぐそばにある尿道周囲の筋肉も損傷を受けるからです。

 

出産を2回以上経験している女性や難産だった人にこのタイプの尿失禁が多くみられます。

 

 

エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌も関係があります。エストロゲンには、尿道周囲の筋肉や排尿の調節にかかわる自律神経の作用を強める働きがあるといわれており、エストロゲンの分泌が減る更年期以降は失禁する人が増えてきます。

 

 

過度の腹圧をかける肥満や便秘、妊娠なども尿失禁を引き起こします。日本医科大学産婦人科が産後1か月目の女性にアンケート調査をしたところ、妊娠中は半数以上、産後1か月時点でも2割以上が尿失禁を経験していました。

 

妊娠28週(8か月)以降の発症が多いようです。

 

 

腹圧性尿失禁の起こる仕組み

 

腹圧性尿失禁の起こる仕組み

 

骨盤内臓器を支えている骨盤底筋群が正常に張っていると、腹圧がかかっても膀胱は正しい位置に保たれるので、内尿道口が閉じて尿道括約筋がぐっと締まり、尿は漏れません。

 

骨盤底筋群が弱くなると、張りの弱いハンモックのように腹圧によって膀胱が下がり、内尿道口と尿道括約筋の角度が広がって締まりが悪くなるため、尿が漏れてしまいます。

 

 

腹圧性尿失禁の治療

 

「骨盤底筋訓練法」という運動療法ののほかに、薬物療法、手術による治療などがあります。

 

骨盤底筋訓練法

骨盤底筋の収縮と弛緩を繰り返し、弱くなった筋肉を自分で鍛える方法です。排尿を中断するようなつもりで膣や尿道、肛門を締める運動を毎日100回行います。

 

軽度から中等度の人では約80%に有効といわれており、3人に1人はこれで治ってしまいますが、重度の尿失禁や高齢者にはあまり効果はありません。

 

 

やり方さえ覚えれば自宅で手軽にでき、副作用もまったくないうえ費用もかかりません。

 

長所は多いのですが、毎日繰り返し続けていても効果が現れるまでに2~3か月ほどかかるので、気長に取り組む必要があります。

 

 

運動のコツをつかむために、最初は医師の指導を受けます。医師は内診しながら膣の締めつけがうまくいっているかをチェックします。

 

膣圧計という圧力センサーを膣内に挿入し、患者自身が針の揺れで締めつけの状態を確認することもあります。

 

 

重さの違うプラスチック製の重りが5個セットになった、「膣内コーン」という練習用の道具もあります。

 

これを腹の中に入れ、落とさないように骨盤底筋を収縮させて15分ほど歩きます。軽い重りから始め、できるようになったら徐々に重くしていきます。

 

 

薬物療法

骨盤底筋訓練法の補助として、内尿道口や尿道括約筋などを支配している交感神経の刺激薬を用います。

 

気管支ぜんそくの治療薬だった塩酸クレンブテロールというβ刺激薬が尿失禁の治療薬として保険で認められ、期待を集めています。

 

この薬は膀胱の筋肉を弛媛させて尿道括約筋を緊張させる作用をもっており、4人中3人に有効だったとの報告もありますが、一部に動悸や手の震えなどの副作用がみられます。

 

 

漢方薬にも有効なものがあります。

 

 

代表的な処方である葛根湯(かっこんとう)には麻黄(まおう)が含まれますが、これは交感神経を刺激するエフェドリンを主成分とし、内尿道口や尿道括約筋を緊張させる働きをします。

 

 

閉経後の女性で萎縮性膣炎を伴っている場合は、結合型エストロゲンを用いるホルモン補充療法が有効です。

 

切迫性尿失禁に使われる抗コリン薬が効くケースもあり、そのほとんどが診断時には明確にできなかった腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型と考えられます。

 

手術療法

骨盤底筋訓練法や薬物療法の効果があがらない人や重度の尿失禁には、手術が行われます。

 

方法はいろいろですが、いずれも下がった内尿道口と尿道をつり上げるのが目的です。

 

手術直後に症状の消える人が90%前後に達しますが、5年後の再発率は30~50%と高く、再手術を受けるケースも少なくありません。

 

コラーゲン注入法

医療用コラーゲンを溶媒液で薄め、内尿道口周辺の組織に注入して内尿道口を閉じる方法で、保険も適用されます。

 

局所麻酔をかけて注入するだけなので、外来でも処置できます。

 

溶媒液は2~3週間で体内に吸収され、注入直後の半分ほどの大きさになるため、多くの場合、再度注入を行います。2回の注入で50~60%が治ったとの報告があります。

 

電気刺激法

理学療法です。膣内に電気器具を挿入し、弱い電流によって骨盤底筋や尿道括約筋を強化します。

 

骨盤底筋訓練法ができない高齢者や重度の尿失禁にも実施できるという長所はありますが、この器具を備えている医療機関はきわめて少なく、どこでも受けられる治療ではありません。

 

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