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小児糖尿病 (子供の糖尿病)

目次

 


 

小児糖尿病 (子供の糖尿病)とは?

 

小児糖尿病 (子供の糖尿病)とは?

 

小児糖尿病 (子供の糖尿病)とは子供が発症する糖尿病です。

 

糖尿病は、大きくインスリン依存型糖尿病(1型)と、インスリン非依存型糖尿病(2型)の二つに分類されます。

 

子供に多いインスリン依存型糖尿病(1型)は、自己管理が大切な病気ですが、血糖値をきちんとコントロールすれば、普通の生活が送れますので、正しい知識を身につけましょう。

 

 

私たちのからだでは、食物から摂取した栄養を分解、吸収、合成して利用し、いらなくなったものは排泄します。

 

糖尿病は、からだを動かすエネルギー源となるブドウ糖がうまく利用されずに血液中に増える病気です。

 

 

血液中に含まれるブドウ糖の量、すなわち血糖値が高くなり、進行すると、尿にもブドウ糖がもれ出るようになります。

 

血糖値が高い状態が続くと、喉が渇いたり、疲れやすくなるなどいろいろな症状が現れ、昏睡状態に陥ることもあります。

 

 

 

血糖値のコントロール不良が続くと、さまざまな合併症を伴う確率も高くなります。

 

小児糖尿病の場合は、成人とは違って、インスリン依存型が多いのが特徴

 

小児糖尿病は、成人とは違って、インスリン依存型が多いのが特徴と言われています。

 

子供5,000人に1人の割合で小児糖尿病がいると推定されています。

 

 

激しい自覚症状をともなって急激に発症します。

 

喉の渇きを訴え、トイレが近くなり、おねしょをすることもあります。放置すると体重が減少し、昏睡状態におちいる事もあります。

 

 

インスリン依存型糖尿病の場合は、子供であってもインスリン注射が欠かせません。

 

ただし、インスリン注射を続ければ、健康な子供と変わらない生活を送ることができます。この点を子供自身によく説明し、理解させることが大切です。

 

 

また、インスリン依存型糖尿病 小児患者の場合は、発育に必要な栄養をとるため、肥満でない限り、成人のようなエネルギー制限は行いません。

 

一方、以前は子供にはみられなかったインスリン非依存型糖尿病も、近年はみられるようになりました。

 

特に中学生、高校生に増えています。発育に必要な栄養面に十分配慮しながら、食事療法や運動療法を行う必要があります。

 

 

 

 

 

糖尿病の分類

 

糖尿病は、大きくインスリン依存型糖尿病(1型)と、インスリン非依存型糖尿病(2型)の二つに分類される。

 

インスリン依存型糖尿病

(1型)

インスリン依存型糖尿病(1型)は、インスリンがほとんど分泌されないもので、通常、小児糖尿病はこのタイプです。

 

15歳以下での発症のピークは5~6歳と10~11歳ですが、15歳以上や成人になっての発症もみられます。発症率は日本では小児人口10万人当たり1.5人程度といわれています。

 

自分のからだでインスリンをつくれないために、生涯にわたって外からインスリンを補う必要があります。

インスリン非依存型糖尿病

(2型)

インスリン非依存型糖尿病(2型)は、インスリンの分泌が不足していたり、働きが十分でないために起こる糖尿病で、成人を含めた全糖尿病の95%以上がこのタイプです。

 

原因には、遺伝的要因に加えて、肥満や運動不足、ストレスなどの生活習慣がかかわっています。

 

小児糖尿病は、これまでほとんどがインスリン依存型糖尿病(1型)でしたが、最近は食生活の変化などから、インスリン非依存型糖尿病(2型)が増えています。

 

1992年度から学校健診に、尿糖スクリーニングシステムが導入されました。この検査によって、顕著な症状が現れていない子どもにも、糖尿病が発見されるケースが出てきました。学校検尿で発見されるのはインスリン非依存型糖尿病(2型)が多くなっています。

 

■血糖とインスリン
血糖値のコントロールには、膵臓(すいぞう)から分泌されているインスリンというホルモンが重要な働きをしています。

 

膵臓にはランゲルハンス島という細胞の集まりがあり、このなかのβ細胞がインスリンを産生しています。糖尿病は、インスリンの分泌や働きの異常が原因となって起こります。

 

 

インスリン依存型糖尿病(1型)

 

インスリン依存型小児糖尿病(1型)の原因

子供のうちに発症することが多いインスリン依存型糖尿病(1型)の原因は、自分の細胞を異物と誤認して攻撃を加えてしまう、自己免疫疾患であることが確実視されています。

 

血液を採取すると、ランゲルハンス島のβ細胞を攻撃する抗膵島抗体(ICA)と抗グルタミン酸デカルポキシラーゼ(GAD)抗体が発見されるためです。

 

 

また、ある特殊なHLA(ヒト組織適合性抗原)をもっている人に発病する割合が高いので、HLA遺伝子がかかわっているともいわれています。

 

細胞抗体をつくりやすい体質やHLAなどは、遺伝が関係していると考えられますが、このような遺伝的体質があったとしても、必ずしも発病するわけではありません。

 

インスリン依存型小児糖尿病(1型)の症状

 

インスリン依存型糖尿病(1型)のほとんどは突然発症しますが、次のような自覚症状を伴います。

 

多飲、多尿、全身倦怠が現れる

 

やたらに水分をほしがり、大量に飲み物を飲むために、尿の量も増えます。

 

また、非常に疲れやすくなり、全身のだるさを訴え、体重も減ってきます。そのほか、めまいや動悸、息切れ、手足のしびれなどが起こることもあります。

 

このような症状がみられたら、早急に小児科で、血糖値や尿の検査をしてもらいましょう。

 

 

インスリンが不足して摂取した糖を利用できないとエネルギーが足りなくなってきます。

 

すると予備のエネルギー源である脂肪の分解が進み、血液中や尿中にケトン体という脂肪酸の代謝物が増えてきます。

 

ケトン体は酸性のため、血液も酸性に傾き、からだのさまざまな器官や脳にまで影響を及ぼすことがあります。

 

こうした状態をケトアシドーシスといいます。

 

 

ケトアシドーシスになると、いくら水分をとっても、ひどく喉が渇き、大量に尿が出ます。同時に、腹痛や吐き気、頭痛、全身倦怠が起こります。

 

また、飲み物を飲んでも吐いてしまって、脱水症状を起こすこともあります。ケトアシドーシスが進行すると昏睡状態に陥ります。

 

 

ケトアシドーシスは、糖尿病と気づかず、病気が進行した場合に起こります。

 

ただし、インスリン治療を開始してからも、インスリンの量のコントロールの失敗や感染症などによって、からだのバランスが崩れて起こるケースもあるので注意が必要です。

 

また、糖尿病で特に気をつけなければならないのが、何年にもわたって血糖値のコントロール不良が続いた結果現れる重大な合併症です。

 

 

主な合併症は、視力に影響する糖尿病性網膜症、腎臓の糸球体が侵される糖尿病性腎症、手足をはじめとする末梢神経に障害が起こる糖尿病性神経障害などです。

 

 

それぞれ進行すると失明したり、人工透析が必要になったり、ときには手足の感覚がなくなって壊疽(えそ)を起こすなど重い後遺症を残すことがあります。

 

 

そのほか、一生治癒することがないという心理的負担、病気に対する周囲の理解の不足、社会生活の規制などから、子供に心理的な障害が起こるケースもみられます。

 

そうした子供を支えるために、家族や医療スタッフなどの医療的、精神的な援助が不可欠です。

 

インスリン依存型小児糖尿病(1型)の検査

 

尿と血液を調べる

 

糖尿病が疑われる場合、まず、尿検査によって尿糖をチェックしたり、血液検査で血糖値やケトン体を調べる検査が行われます。

 

血糖値が空腹時に126mg/dl以上で、それ以外のときでも200mg/dl以上の場合は糖尿病の疑いが強くなります。

 

さらに、全身の倦怠感やケトアシドーシスの症状が出ていれば、治療を開始する必要があります。

 

 

また、症状が出ていない場合や、血糖値がそれほど高くなくても肥満などで糖尿病が疑われる場合には、糖尿病かどうかを調べるための検査を行います。

 

ブドウ糖負荷試験とよばれるもので、ブドウ糖を飲ませて一定時間に何回か採血をし、時間経過と血糖値の変化の様子を調べて診断します。

 

インスリン依存型と非依存型糖尿病の鑑別には、抗膵島抗体や抗GAD抗体を調べます。

 

 

そのほか、血液検査を行って、赤血球の中の糖化ヘモグロビンや、血漿(けっしょう)たんぱくの一つであるアルブミンとブドウ糖が結合した物質のフルクトサミンの値で、糖尿病の進行具合をみます。

 

インスリン依存型小児糖尿病(1型)の治療

 

血糖値を自分でコントロール

 

インスリン依存型糖尿病(1型)の場合、再び膵臓からインスリンが正常に分泌されるようになる可能性はほとんどありません。

 

そのため、治療の目的は、インスリンを外から補い、食事療法や運動療法を併用して、血糖値をできる限り正常にコントロールすることにあります。

 

血糖値を正常範囲で保ち続ければ、成長や発育も順調に進み、健康な子供と同じ生活ができるうえ、糖尿病の合併症を予防することも可能です。

 

 

ただし、一生のことですから、血糖値をコントロールするのは、医師や看護婦ではなく、あくまで自分自身なのだということを自覚しなければなりません。

 

子供の場合、幼少期は親が中心になりますが、いずれは子供自身が管理していけるように導いていくことが大切です。

 

インスリン療法

インスリンを注射で補う方法で、膵臓からのインスリン分泌の量などによって、調節していきます。

 

インスリンは、薬が作用し始める時間や作用の持続時間によって、いくつかの種類に分かれます。

 

 

注射をするのは、子供が小さいうちは親の役割ですが、子供が自分でできる年齢になれば、自分でするように指導します。

 

注射をする部位は、主に、腹部、臀部、腕、大腿部などです。同じ部位ばかりにしていると組織が硬くなって、インスリンの吸収が悪くなるため、毎回変える必要があります。

 

インスリン用の注射器は針も細く、あまり痛みを感じないようにできています。

 

食事療法

インスリン療法とともに欠かせないのが食事療法です。

 

食事療法は、血糖値を正常範囲に保ち、インスリンの効果を高め、さらに子供の成長や発育に必要な栄養素をバランスよくとるために行われるものです。

 

糖尿病の食事療法の原則は、まず、適正なエネルギー量の摂取です。

 

本人の年齢、身長、体重、基礎代謝量を考慮して1日に必要なエネルギー量を計算し、朝・昼・晩、それに間食の4回にエネルギー量をふり分けます。

 

 

4回こ分けるのは、食前、食後の極端な低血糖や急激な血糖値の上昇などを防ぐためです。

 

間食は午後3時に食べるというのではなく、例えば、幼児の場合には午前中に血糖値が下がりやすいので午前中に食べたり、学童では学校で運動をした後に血糖値が下がるのを防ぐため、午後に食べるなど、年齢や個人の状況に応じて調節していきます。

 

 

次に大切なのは必要な栄養素のバランスです。

 

たんぱく質は成長期には欠かせない栄養素ですから、年齢に合わせた必要量を十分にとるようにします。

 

 

また、糖尿病では糖質をとってはいけないというのは誤解で、糖質はからだのエネルギー源として欠かせないものです。

 

とりすぎは血糖値を上昇させますが、少なければ、エネルギー不足に陥ります。

 

 

糖質のなかにはブドウ糖や果糖の単糖類、蔗糖(しょとう)や乳糖などの二糖類、でんぷんなどの多糖類といった種類があり、単糖類や二糖類は、ただちに消化吸収されるため、血糖が急激に上がりやすいので、とりすぎないように注意しましょう。

 

そのほか、脂肪やビタミン、ミネラル、食物繊維などもバランスを考えてとる必要があります。

 

運動療法

肥満と関係のないインスリン依存型糖尿病(1型)でも運動は必要です。

 

体力をつけたり、心肺機能を高めたりといった一般的な運動の効用のためだけでなく、末梢組織でのインスリンの作用を増強するのが狙いです。

 

 

特に、ジョギングやエアロビクス、ウォーキングなどの、持続的に酸素をとり込みながら行う有酸素運動が適しています。

 

ただし、運動中は、ブドウ糖が燃焼してエネルギーとなるために、インスリンがふだんより多く必要になります。

 

 

そのため、運動をするときにはインスリン量が足りていることが大切です。

 

逆に、インスリンは十分でも、エネルギー源が不足すると低血糖を起こしますから、空腹時に運動するのも禁物です。

 

通常は運動の前に軽くエネルギーを補う物を食べたりして、低血糖になるのを予防します。

 

このように、運動をする際には、インスリンや食事の量、タイミングに気をつけなければなりません。

 

インスリン非依存型小児糖尿病(2型)

 

かつては、小児糖尿病といえば、ほとんどがインスリン依存型糖尿病(1型)でしたが、最近、インスリン非依存型糖尿病(2型)にかかる子供が多くなっています。

 

毎年小学校の健診でみつかる糖尿病の約7割は、非依存型だといわれています。

 

インスリン非依存型糖尿病(2型)は、インスリンは分泌されていても、その量が少ないか、あるいはうまく働かなくなるために起こります。

 

 

非依存型糖尿病の原因としては、もともとなりやすい遺伝的な体質に加えて、肥満のほか、エネルギー、動物性脂肪、たんぱく質の過剰摂取、運動不足などが引き金となります。

 

非依存型の場合は肥満している子がほとんどで、肥満を解消するだけで軽快する例も少なくありません。現代の食生活の欧米化、運動不足などが大きな原因ともいえます。

 

 

治療法は、食事療法や運動療法が中心ですが、インスリン療法が必要となることもあります。

 

 

 

 

 

子供の糖尿病への自己管理指導

 

子供の糖尿病への自己管理指導

 

乳幼児期に発病した糖尿病も、いずれは子供が自分で管理していく必要があります。

 

そのためには、年齢に応じて、自分自身でできることを徐々に増やしていくよう、医療スタッフや親が指導していきます。

 

自己管理が必要なのは、インスリン注射や尿検査だけでなく、食事療法や運動療法、低血糖などの異常が起きたときの対処法も含まれます。

 

加えて、血糖自己測定器を使用して、週に何度か血糖を自分で測ったり、それに応じてインスリンや食事、運動の量を調節する必要も出てきます。

 

これらをすべてマスターし、年齢ごとの環境変化に応じて、きちんと血糖を自己コントロールできるようになるのが最終的な目標となります。

 

自己管理指導の目標

 

年齢

自分で行う目安

幼児

  • 泣かずに血糖検査、注射をさせる。
  • 血糖測定や注射のお手伝いをする。
  • 食事時間、食事量がほぼ決まっている。決められた食事をよく食べる。
  • 低血糖を、しゃがみ込むなど何らかの表現でまわりの人に伝えられる(幼稚園や保育園に通っている子供)。
  • 日常生活全般(規則正しい生活、自分で服を着たり脱いだりする、手を洗ってから食事をする、一人でトイレに行けるなど)の自立。

小学生、低学年

  • 血糖測定器を操作する、注射の準備をする、自分で注射する(少なくとも1日1回)。後片づけをするなど、できることを行う。
  • 低血糖症状をまわりの人に伝えられる。
  • 外で食べたおやつや給食について母親に教える。
  • 友だちのように、何でもたくさん食べてはいけないことがわかる。
  • 病気のために、これらのことが自分にはずっと必要であることがわかる(これらのことをしていれば、友だちと同じように過ごせることもわかる)。
  • 規則正しい生活、からだを清潔にする習慣、学習習慣など日常生活全体の自立。

小学生、高学年

  • 血糖測定、注射を自分で正確に行えるようにする。また、糖尿病についての正しい知識を得る。自分の血糖値やコントロールに関心をもつ。
  • 血糖値を自覚し、対処する。学校で注射ができる。食事の目安を覚える。
  • 親に手伝ってもらわなくてもできることは、自分でどんどんする。
  • 外来で医師に診察してもらうとき、わかることは自分で話す。
  • 夜ふかしをせず、規則正しい生活をする。

中学生

  • 自立の徹底(親に言われなくても自分でできる)。
  • 1日の血糖変化と、インスリン注射、食事、運動との関係に興味をもつ。
  • 部活動や交友のなかでコントロールを維持する。
  • 時間やスケジュールの変更に対応できる。

高校生

  • 自立の徹底。自分で管理できる(インスリン注射の自己調節を含む)。
  • 血糖の変化を理解し、よいコントロールを維持する方法を考える。
  • 生活行動の拡大のなかでコントロールを維持する。
  • 飲酒、喫煙の害や、糖尿病に及ぼす影響がわかる。

大学生、専門学校生、就職など

  • 外食、自炊など食事の管理も含めて自ら管理する。
  • 同僚、上司などへの説明も、自らの考えで適切に行う。
  • ほかの病気にかかったときにも対処できる。
  • 定期的に運動する。日常生活のなかでよくからだを動かす。
  • 妊娠や避妊についての正しい知識をもつ。

 

 

 

 

 

小児糖尿病サマーキャンプ

 

毎年夏に、小児糖尿病患者を対象としたサマーキャンプが行われています。

 

キャンプは小児糖尿病治療の項目の一つで、糖尿病の知識や自己管理の技術、緊急時の対応などを学ぶことを目的とします。

 

さらに、同じ病気を持つ子供同士で寝食を共にすることで、日常生活での悩み、工夫などの情報交換ができます。

 

 

キャンプは糖尿病の子供と親の会の主催で、病院単位や地方自治体単位で開催され、全国規模のものもあります。

 

スタッフには医師や看護師、検査技師などの医療関係者のほかに、キャンプ参加者のOB、OGも含まれます。

 

 

対象は子供だけの参加~家族参加、高校生以上の若者を対象としたものまで様々です。

 

年齢ごとの環境変化に応じて、血糖を自己コントロールできるようになるのが最終的な目標となります。

 

 

生涯にわたって血糖値のコントロールが必要なインスリン依存型糖尿病の子供には、成長に応じて様々な問題も起きてきます。

 

自己コントロールのための自立教育は重要ですが、成長障害や周囲への適応障害を起こさないためには、子ども自身はもちろん、親や周囲の小児糖尿病への理解や協力が欠かせません。

 

甘やかしすぎないようにして自立を促しながら、見守っていくことが大切です。

 

サマーキャンプのホームページ
http://www.nittokyo.or.jp/event/patient/summer_camp/

 

 

 

小児糖尿病の合併症と予防

 

小児糖尿病の合併症

 

徐々に進行していく慢性合併症を併発しても、初期のうちは症状があまり出ませんが、放置しておくと重篤になるものが多いため予防が重要です。

 

合併症を防ぐ最良の方法は、血糖値をできるだけ正常に近い状態で保ち続けることです。

 

慢性合併症が起こるのは、通常、糖尿病を発症して10年以上経過してからですが、思春期に入ったら、合併症の兆候がみられないかどうかの定期的な検査が欠かせません。

 

糖尿病性網膜症

糖尿病が原因で、目の奥の像を結ぶ部分である網膜が侵され、徐々に視力が落ち、ついには失明に至るものです。日本では失明の原因の第1位になっています。

 

予防のためには、少なくとも年に2回の眼底検査が必要です。

 

参考ページ:糖尿病性網膜症

 

糖尿病性腎症

糖尿病によって、腎臓の糸球体が侵され、たんぱく尿や足のむくみなどが起こり、最終的には腎不全に陥るものです。

 

腎不全が進行すると人工透析を行わなければなりません。人工透析を受けている患者中に占める糖尿病性腎症患者の比率は年々増える傾向にあります。

 

早期に発見するために、尿中のアルブミンを測定する検査などが行われます。

 

治療法は、塩分やたんぱく質の制限を行う食事療法が中心になります。

 

糖尿病性神経障害

糖尿病の合併症のなかで、最も早く起こり、頻度が高いものです。手足をはじめとする末梢神経に障害が起こり、こむら返りやしびれ、痛み、立ちくらみなどの症状が現れ、ひどくなると手足の知覚がまったくなくなります。

 

そのために、細菌感染に気づかず、壊疽(えそ)を起こす場合もあります。

 

予防としては血糖値を安定させるのが第一ですが、いつも足の状態をよく観察し、清潔に保つことが重要です。皮膚の外傷を防ぎ、マッサージなどで血行をできるだけよくします。

 

その他の小児糖尿病の合併症

感染症にかかりやすくなったり、動脈硬化、自律神経障害などの合併症が起こるケースもみられますが、いずれにしても血糖値を適正にコントロールすることが最大の予防になります。

 

 

小児糖尿病の予防

 

学校検尿検査で糖尿病を発見

学校保健法施行規則の改正で1974年から児童・生徒の健康診断に腎疾患のスクリーニングを目的としたたんぱく、潜血の尿検査が加わりました。

 

さらに92年度からは、全国的に糖尿病のスクリーニングを目的とした尿糖検査も導入されるようになりました。

 

 

検尿検査の方法は、検査当日、朝起きてすぐにトイレに行き採尿したものを、学校単位で検査機関に提出します。

 

この検査で尿糖がプラスになれば、精密検査を受けるよう勧告されます。

 

学校検尿によって、毎年糖尿病が発見されているという報告があります。そのうちの約7割はインスリン非依存型糖尿病(2型)です。

 

 

尿糖検査でプラスになったからといって必ずしも糖尿病だというわけではなく、健康な人でも空腹時にブドウ糖が検出されたり、血糖値は正常なのに、腎臓での糖の再吸収がうまくいかず尿中に糖が検出される「腎性糖尿」のような治療の必要ないものもあります。

 

鑑別診断のためにも、陽性になったときには必ず精密検査を受けるようにしましょう。

 

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