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水疱瘡の原因・症状・診断・治療・予防

目次

 


 

こんな症状に注意
  • 胸や腹などに急に多数の発疹ができましたか?
  • 胸や腹などにできた水疱が顔面や頭、手足に広がりましたか?
  • 水疱が膿で白くなり、黒褐色のかさぶたがついていますか?
  • 丘疹や水疱、痂皮などが皮膚に混じっていますか?
  • 幼稚園や学校で水疱瘡が流行していますか?
  • 帯状疱疹の人が近くにいますか?

 

子どものうちに感染して治りますが、大人になってからヘルペスとして再発することがあります。

 

水疱瘡(水ぼうそう)とは?

 

水疱瘡の原因・症状・診断・治療・予防

 

ほとんどの子が10歳までに

 

全身に水疱ができる子どもに多い病気が水痘(すいとう)で、水疱瘡(水ぼうそう)ともいいます。水痘・帯状疱疹ウイルスによる急性の感染症で、主に冬から春にかけて発生します。

 

 

このウイルスは感染力が強く、95%以上の子どもが10歳までに感染します。たいてい約1週間で軽快し、2週間程度ですっかり治ってしまい、それほど問題はありません。

 

 

ただし、妊娠中に感染して胎児にうつったり、免疫系に異常のある小児や骨髄移植を受けた患児などが感染すると、重い病気を引き起こします。

 

 

また、水疱瘡が治っても、ウイルスは神経の中にもぐりこんで、ひっそりと生存を続け、年をとって免疫力が低下したりすると、どっと増殖して、帯状疱疹を引き起こし、皮膚に帯状の発疹が現れることがあります。

 

 

この場合、再び水疱瘡として発症することは、ほとんどありません。帯状疱疹が生じると、水疱が治ったあとも神経痛が生じることがあり、やっかいな病気です。

 

 

 

 

 

水疱瘡の原因

 

触れたりそばにいると感染

 

ヘルペスウイルス科に属する水痘・帯状疱疹ウイルスは、直径約200nm(ナノメートル:1nmは1mmの100万分の1)の小さな病原微生物です。

 

 

外側はエンベロープとよばれる外皮で覆われ、その中に正二十面体の粒子が入っています。この粒子の中にウイルスの遺伝子(DNA)が包まれるかっこうをしています。

 

 

水痘・帯状疱疹ウイルス(以下、水痘ウイルスと略)は、水疱や感染者の咽頭部などに存在します。ですから、水痘にかかった子どもがさわったものに触れたり(接触感染)するとうつります。

 

 

また、感染者が咳やくしゃみをしたときにウイルスが飛び散りますが、これを吸い込んだりしてもうつります(飛沫感染)。近くに帯状疱疹にかかった大人がいる場合も、接触または飛沫感染により、子どもが感染するケースがあります。

 

 

接触または飛沫感染でうつった水痘ウイルスは、まず目の結膜や咽頭粘膜にとりつきます。そして、その近くのリンパ節で数をどんどん増やし、血液を介して全身に広がります。こうして皮膚に達したウイルスが水疱をつくります。

 

 

潜伏期間は、2~3週間ほどです。子どもの場合は、この間は無症状のケースがほとんどですが、大人が水疱瘡にはじめてかかると、発疹が現れる1~2日前から発熱、頭痛、からだがだるいなどの前駆症状がしばしばみられます。

 

 

大人になってはじめて水疱瘡にかかると、子どもより症状が重く、大きな水疱が、数多く発生します。

 

 

 

 

 

水疱瘡の症状

 

形や色もさまざまな発疹

 

子どもの場合は、前駆症状はあまりなく、症状は急に現れます。最初は発熱とともに、紅斑が出現します。まもなく、この紅斑は、皮膚から盛り上がった小さな丘疹に変わります。

 

 

丘疹は赤またはピンク色で、しばらくすると中に水がたまり、水疱を形成します。かゆみも伴います。発疹はからだの中心部から出現し、頭や口の中にも広がりますが、手足や顔面には少ないのが特徴です。

 

 

ときには目の結膜や外陰部にも発疹の生じることがあります。口や舌にできた水疱はすぐに破れて潰瘍になり痛みます。

 

 

1~2日すると、発疹の中に膿がたまってきて、白くなり、やがて黒褐色の痂皮(かさぶた)がくっつきます。ただし、発症後3~4日は新しい発疹ができるため、痂皮を形成した皮疹や赤い丘疹、水疱が混在します。すべての水疱が痂皮化するまで約6日間かかります。

 

 

そのころまでには発熱もおさまり、痂皮も1~2週間で脱落します。ときには水疱のあとに色素が沈着し、数年とれないこともあります。

 

 

水痘ウイルスの感染力は、患児に発疹ができる1日前から、すべての水疱に痂皮ができるまでの約1週間持続します。

 

 

この期間に水疱瘡にかかったことのない子が接触したり、そばに近づいて咳やくしゃみの飛沫を吸い込んだりすると、感染します。

 

 

水疱瘡ではかゆみが強いので、水疱をひっかいて破り、そこに細菌が感染して、大きな膿を含んだ水疱が形成されることがあります。これを膿皮症とか膿痂疹とよびます。原因は黄色ブドウ球菌や溶連菌など、皮膚に常在する菌です。

 

 

また、免疫不全の小児や白血病治療中の小児、骨髄移植を受けて免疫力が著しく低下した小児などが水疱瘡に感染すると、ウイルスが内臓で増殖し、肺炎や肝炎、脳炎、重い血小板減少症などを起こし、致命的になることもあります。

 

 

妊娠中の水痘感染も、最近、注目されています。今までは、水痘ウイルスが胎児に感染すると、どういう害があるか、よくわからなかったのですが、症例数が集まってくると、風疹と同様に有害なことがわかりました。胎児のときに水疱瘡に感染して障害を持って生まれた子を「先天性水痘症候群」とよんでいます。

 

水疱瘡の経過と発疹

症状の出方などについて、子どもによる差はほとんどありません。潜伏期間はたいてい2~3週間程度で、まず38℃以上の発熱が特徴です。からだの中心部から発疹が広がり、その数は平均して200~500個くらいです。

 

 

全部の発疹がかさぶた化するまで7~10日間ほどかかり、その後は快方に向かいます。

 

 

 

水疱瘡の診断

 

特徴的な症状から診断は可能

 

水疱瘡の診断は、特徴的な水疱から診断がつきます。発症時の様子、水疱の出方などを、よく観察しておき、医師に説明します。感染源が推定できれば、これも医師に伝えます。

 

 

また、水疱瘡もそうですが、伝染性の病気の診断には、地域の流行状況が役立ちます。厚生省の感染症サーベイランス事業(http://idsc.nih.go.jp/surveillance.html)によって、保健所や医師会を通じて、各診療所や病院には比較的早く地域の感染情報は伝えられますから、診断は容易です。

 

水痘によく似た病気

 

ほかにも皮膚に水疱を生じる病気はいろいろあります。

 

単純性疱疹

単純ヘルペスウイルスによる皮膚感染症で、唇、口のまわり、手の甲、陰部などに水疱を生じます。水痘に比べれば水疱のできる場所は限られ、その数も少ないことから、容易に区別できます。

 

 

しばしば再発を繰り返し、疲れたり、発熱のあるときなどに出てきます。

 

手足口病

コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどによる皮膚感染症のひとつで、手のひらや指、足のかかとや親指の側面、唇の内側、口の中などに水疱が現れます。

 

 

水疱は、かゆみや痛みがなく数日で消えてしまいます。口の中の水疱が破れると食事のときなどに痛みます。

 

猫ひっかき病

猫にひっかかれて数日後に受傷部に紅斑や丘疹、水疱が現れ、近くのリンパ節がはれてきます。

 

 

2か月ぐらいで自然に治ります。

 

伝染性膿痂疹

とびひ」ともいいます。

 

 

ブドウ球菌などの感染によって、全身に水疱ができます。水疱は大きく周囲が赤くなります。抗生物質の服用と外用薬で治療します。

 

 

 

 

 

水疱瘡の治療

 

水疱を乾かし、かゆみを防ぐ

 

水疱には白い亜鉛華軟膏を、1個1個の水疱に塗っていきます。水疱を乾燥させ、かゆみを止める効果があります。亜鉛華軟膏の代わりに、非ステロイド系抗炎症薬のクリームも使われます。

 

 

口腔内に水疱ができて痛むときは、キシロカインゼリーを塗る場合もあります。

 

 

キシロカインゼリーは内視鏡の検査のときなどに喉に塗る麻酔薬の一種で、優れた鎮痛効果があります。かゆみの強いときは、抗ヒスタミン薬を服用します。

 

 

水疱瘡の数と大きさは重症度を表します。からだ全体に無数の水疱ができる重症例では、アシクロビルという水痘ウイルスに有効な抗ウイルス薬を3~5日間服用します。

 

 

もっとも重症の肝炎や肺炎、脳炎を併発する症例では、早い段階からアシクロビルの注射薬を用います。

 

 

水疱がこわれて細菌の二次感染が生じた場合は、抗生物質が投与されます。

 

 

通常、解熱剤は用いません。特にアスピリンは、急に嘔吐、けいれん、意識障害、肝障害を起こすライ症候群の発生も報告されているので、避けることが望ましいといわれています。解熱剤は免疫を抑制する作用もあるので、自然な回復を妨げるという指摘もあります。

 

水疱瘡の家庭看護

 

ひっかいて壊さないように

 

健康な小児が水痘にかかっても、2週間程度で自然に治ってしまうので、治療は、対症療法が中心になります。なかでもかゆみ対策がもっとも重要です。水疱をひっかいて、細菌の二次感染を起こすと、皮膚はさらにきたなくなり、治癒も長引きます。

 

 

きたない爪でひっかかないように爪をきれいに切り、清潔な肌着をつけて、手洗いを励行するようにします。全身状態が良好なら、シャワーや入浴、行水も禁止する必要はありません。

 

 

発熱は約3分の2の症例で認められます。38℃以上の高熱になるので、小さい子どもが脱水しないように、十分に水分を補給します。特に新生児、乳幼児では、体重1kg当たりの必要な水分量は、大人よりも多く、脱水症状になりやすいので注意する必要があります。

 

 

口や舌に水疱ができると破れて痛むので、食事を嫌がります。刺激の強い食品は避け、ミルクや冷ましたスープやおかゆなどで、栄養を補給します。

 

 

また、水痘ウイルスは感染力が強いので、発症後は水疱がすべて痂皮になるまで、幼稚園や学校を休ませます。

 

 

 

水疱瘡の予防

 

ワクチンで軽症に抑える

 

水痘ウイルスに対する抗体を比較的大量に含む高力価免疫グロブリンは症状の軽減に役立ちます。

 

 

また、白血病などの重い病気を抱える子どもには、水痘ワクチンの接種も勧められます。水痘感染が疑われる場合は、感染者に接触して72時間以内に水痘ワクチンを接種すれば、水疱瘡が発症しても軽症ですむとされています。

 

 

このワクチンは、弱毒化した水痘ウイルスを凍結乾燥した生ワクチンで、日本で開発されました。平成26年10月より、水痘ワクチンが定期予防接種になり無料でできるようになりました。

 

妊娠中は要注意!先天性水痘症候群

 

妊娠中の水疱瘡感染は、風疹と同様に危険な場合があります。特に妊娠8~20週で水疱瘡にかかると、流産したり、出産した子どもの皮膚に水痘が治ったあとのような瘢痕ができたり、目の異常や手足の異常、精神発達遅滞などがみられます。

 

 

これらの異常児は、妊娠中に水疱瘡にかかった母親から生まれたことがわかり、これを「先天性水痘症候群」とよぶようになりました。

 

 

妊娠中に水疱瘡にかかっても、全例が先天性水痘症候群になるわけではなく、8%前後の発症率といわれています。

 

帯状疱疹と水痘

 

高齢者や重い病気を抱えた人に、しばしばみられる皮膚病が帯状疱疹です。

 

 

このような帯状疱疹は、子どものころにかかった水痘ウイルスが再び増殖を開始するために生じます。

 

 

水疱瘡が治っても、水痘ウイルスは神経を伝わって神経節などに逃げ込み、そこでひっそりと何十年も生き続けています。

 

 

そして、免疫力が低下すると、神経節から出てきて、神経を刺激すると同時に、神経の支配する場所に水疱をつくるのです。

 

 

帯状あるいは直線状に並んだ水疱が、顔面、耳たぶ、胸、背中などに出現します。最初、特定の場所に神経痛のような痛みが発生し、それに引き続いて水疱が現れます。

 

 

やがて水疱には膿ができて壊れ、潰瘍になります。通常、2~3週間ぐらいで治りますが、高齢者ではときに神経痛が長期間持続することがあります。これが帯状疱疹後神経痛です。

 

 

 

 

 

水痘にかかったかどうか記憶がありません。検査でわかりますか?

水痘皮内テストという検査があります。水痘ウイルスの抗原を少量、皮内に接種し、24~48時間後に皮膚の反応を調べます。

 

 

直径5mm以上に赤く腫れたら、免疫があると判定され、以前に水痘にかかったことがわかります。

 

ワクチンの接種は受けたほうがよいでしょうか?

健康な小児や成人では、水痘ワクチンの副反応はほとんど認められていません。

 

 

大人になって水痘にかかると、重症になりやすいこと、感染したことのない女性が妊娠中に感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があること、出産直前あるいは出産直後に感染すると新生児に重い水痘感染症を引き起こすことなどを考えると、水痘ワクチンの接種も考慮されてよいでしょう。

 

 

女性の場合は、水痘も風疹と同じように考えてよいでしょう。

 

 

水痘は、ほとんどの子どもが10歳までにかかりますが、健康であれば、その時期にかかっておくほうがむしろ好ましいといえます。

 

ときどき黒いかさぶたをいっぱいつけた子を見かけますが、うつらないのでしょうか?

水痘ウイルスは、患児に発疹ができる1日前から、すべての水疱に痂皮ができるまでの約1週間は、水疱や喉のあたりに生存していますから、接触したり、飛び散った唾液などを吸い込んだりするとうつります。

 

 

すべての水疱が痂皮で覆われる点がポイントで、皮膚の上に丘疹や水疱などが混じっている場合は、まだ感染力があります。

 

口の中にも水疱ができ破れて痛がり、食事を嫌がります。どういう食事にすればよいでしょうか?

酢の物のような刺激の強いもの、硬いもの、角がとがったものなどは避けます。

 

 

冷ましたおかゆや冷ましたスープ、ミルク、卵豆腐やプリンなどが食べやすいでしょう。野菜類などはミキサーにかけて、細かく刻んで食べさせてもよいでしょう。

 

水疱瘡は、ほとんどの小児がかかるありふれた病気です。全身に水疱ができて、やがて黒褐色の痂皮に変わるため、見た目はきたならしく、重症の病気のようにみえますが、健康な小児なら、10日前後で治ってしまいます。

 

 

水疱瘡の特徴的な症状は、まずからだの中心部に発疹が現れること、発疹は水疱に変わり、痂皮をつけるので、数日間は、丘疹、水疱、痂皮が混在することなどです。

 

 

水疱は強いかゆみをともなうので、ひっかいて破ったりしないように、皮膚の清潔を心がけましょう。

 

 

また、水疱瘡は感染力が強いので、ほかの人にうつさないようにすることも大切です。

 

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