トップへ戻る

口唇裂・口蓋裂の原因・症状・治療・予防

目次

 


 

こんな症状に注意
  • お乳をよく飲んでいますか?
  • 飲んだお乳が鼻や気管に入って、むせていませんか?
  • お乳の飲み方が悪く、体重があまり増えていませんか?
  • お母さんが不安で動揺していませんか?
  • 離乳食になってから鼻に悪臭がありませんか?
  • 術後、定期的な検診を受けていますか?

 

口唇裂・口蓋裂は、生まれつき唇や上あごなどが裂けている障害です。症状が軽ければ、1回の手術で治すことができます。

 

口唇裂・口蓋裂とは?

 

口唇裂・口蓋裂の原因・症状・治療・予防

 

口唇裂(こうしんれつ)は唇裂ともいい、上唇が生まれつき裂けていることをいい、口蓋裂(こうがいれつ)は、口蓋(上あご)が生まれつき裂けている状態をいいます。人間の顔面、あごの筋肉、骨格は、妊娠3か月までの胎生期にいくつかの部分が癒合して完成します。

 

 

この癒合が何らかの原因でうまくいかないと、癒合しないで開いたまま残ります。この状態が唇裂口蓋裂です。

 

 

口蓋裂は外見上は顔に特別な変化が現れませんが、上あごが裂けているので、口と鼻、喉がつながっています。上唇の一部、または鼻の穴まで裂けているのが口唇裂です。上唇だけでなく、歯の生えている部分(歯槽部)と上あごの奥も裂けている状態を唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)といいます。

 

 

口唇裂は唇が形づくられる妊娠2か月までに、口蓋裂は口腔の上壁にある骨や筋肉が形づくられる妊娠3か月までの間に起こるといわれています。

 

 

口腔内の形態異常は、胎児の発症する時期が早ければ早いほど重度で、広範囲に及びます。しかも唇や口腔内だけでなく、からだのあちこちにも障害が現れやすくなります。

 

 

日本では、口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんは400~500人に1人の割合でみられる最も頻度の高い外表奇形の一つです。日本の場合、外表奇形を示す病気全体では、生まれてくる赤ちゃんの約1%にみられます。口唇裂・口蓋裂のほかに、無脳症、多指症、合指症、単眼症、小顎などがあります。

 

 

口唇裂・口蓋裂の場合は、適切な治療をすれば十分に治すことができます。

 

口唇裂・口蓋裂の分類

 

口唇裂・口蓋裂の分類

 

口唇裂と口蓋裂はそれぞれ裂け方の程度によって分類できます。

 

 

口唇裂は鼻の変形を伴い、上唇が少し切れたものから上下の唇とあごの骨が裂けているものに分けられます。口蓋裂は口唇裂との合併を伴うことがあり、成長するにつれ、あごも変形します。

 

 

上あごの奥(軟口蓋)だけ裂けたものから、手前の硬口蓋も裂けているものに分けられます。

 

 

口唇裂・口蓋裂の原因

 

原因については、妊娠初期にトキソプラズマ症などの胎児に影響を与える病気にかかった場合のほか、腹部のけがや栄養不足など、いろいろな説があります。

 

 

口唇裂は遺伝すると考えられた場合、遺伝子だけが原因とすれば、一卵性双生児は二人とも口唇裂を起こすはずですが、統計ではその比率は約35%です。環境的要因と遺伝的要因が、複雑にからみあって起こると考えられています。

 

口唇裂・口蓋裂の環境的要因

 

顔やあごが形成される妊娠4~12週の間に、受精卵をとりまく環境によって、口唇裂・口蓋裂を含めたさまざまな先天異常を起こすことがあります。

 

 

父親側には、年齢、アルコール、タバコ、コーヒーの常飲などによって催奇形物質が形成され、精子の染色体に突然変異が生じることがあります。病気やX線照射も精子に影響を与えます。

 

 

母親側には、卵子の染色体に突然変異がみられる場合と、環境が受精卵に与える影響が考えられます。妊娠する前と妊娠直後のストレス、食事、病気、嗜好品、薬剤、X線照射に気をつけなくてはなりません。年齢、婦人科の病気、性感染症なども影響を与えると考えられます。

 

口唇裂・口蓋裂の遺伝子の異常

 

卵子に精子が入り込んで受精が成立すると細胞分裂を繰り返して次第に成長します。

 

 

受精卵には遺伝子が組み込まれていますから、卵子と精子のどちらか、もしくは両方の遺伝子にもともと異常があれば、口唇裂・口蓋裂だけでなく、からだに先天的な形態異常を起こすことになります。

 

 

 

 

 

口唇裂・口蓋裂の症状

 

口唇裂は唇裂の程度によって、痕跡唇裂(唇裂外鼻、赤唇唇裂)、自唇唇裂、唇顎裂、唇顎口蓋裂に分類されます。

 

 

また口蓋裂も、どこまで裂けているかによって、口蓋垂裂、粘膜下口蓋裂、軟口蓋裂、硬軟口蓋裂に分類されます。いずれも治療法には大きな差はありません。

 

 

口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんは、哺乳や飲み込む力、言葉に障害があるだけではありません。特に口蓋裂の場合は上気道炎を起こしやすく、かなりの頻度で中耳炎を併発して難聴になることもあります。

 

 

さらに、言葉を覚えるときに言語障害になったり、言葉を正確に明瞭に発音できない構音障害や、鼻にかかった不明瞭な発音になる開放性鼻声を起こします。

 

 

成長してからも、自分の意思を他人にうまく伝えられないことから、社会生活に支障をきたすことがあります。手術して症状を改善することが大切です。

 

 

口唇裂・口蓋裂の手術前にすること

 

口唇裂・口蓋裂にはいろいろな合併症があります。形成外科で、口唇や口蓋の裂けているところを手術でふさげばすむという問題ではありません。

 

 

手術をするにあたっては、それぞれの合併症に応じてほかの専門家とチームを組んで診断します。

 

 

治療は、主に手術を担当する形成外科や麻酔科、内臓異常を診察して治療する小児科の医師、言葉の治療をする言語治療士がチームを組みます。

 

 

医療費などの相談を担当する福祉相談士、中耳炎などの治療する耳鼻科医、虫歯を治療する小児歯科、子どもの成長とともに問題になる歯科矯正科などの歯科医師もチームに参加します。

 

各方面に積極的にアプローチして、経験豊富で高度な技術とセンスをもった医師を紹介してもらいましょう。

 

 

 

 

 

口唇裂・口蓋裂の手術前の治療

 

哺乳

 

赤ちゃんが母乳を飲むときは、乳首を舌で上あごに押しつけて、舌を動かしながら口の中を陰圧の状態にして吸います。口唇裂は問題ありませんが、口蓋裂は、上あごが裂けているために上手に吸うことができません。

 

 

健康な赤ちゃんは20分以内で飲めますが、口蓋裂の赤ちゃんは吸う力が弱いので、30分以上かかることがあります。根気よく飲ませるようにし、授乳の回数を増やしたりします。

 

 

どうしても飲み方が悪いときは合併症を起こしている可能性がありますので、小児科の医師に相談します。母乳には、免疫力があるため、できるだけ母乳を飲ませるようにしましょう。母親の乳首から飲めないときは、母乳をしぼって哺乳瓶で飲ませ、母乳が少なければミルクを与えます。

 

哺乳瓶

 

普通の哺乳瓶と口蓋裂用の哺乳瓶があります。普通の哺乳瓶で飲みにくそうなら、乳首を何回か煮沸して軟らかくしたり、焼いた縫い針で乳首の穴を少し大きくしたり、穴の数を増やすなど工夫します。

 

 

口蓋裂用の乳首も市販されていますので、子どもに合うものを探しましょう。

 

母乳の飲ませ方

 

口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんは、お乳をすぐ鼻や気管に入れてしまい、むせたりします。赤ちゃんをだっこした状態で飲ませるようにします。授乳中にげっぷをさせることも、上手に飲ませるコツです。量は飲みたいだけ飲ませます。

 

 

授乳は赤ちゃんの口や喉の筋肉の発達を促します。

 

授乳とスキンシップ

 

お母さんがいらいらしたり、手術のことを心配すると赤ちゃんの機嫌も悪くなります。

 

 

穏やかに母乳を飲むことは、子どもの性格を健全に形成するうえで大切です。ゆったりした気持ちで授乳しましょう。よほどのことがない限り、チューブやスポイトは使わないようにします。

 

発育

 

口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんの発育は、健康な赤ちゃんとまったく同じです。お乳の飲み方が悪かったり、体重の増加が少ないときには合併症があるかもしれませんので、小児科の医師に相談しましょう。

 

 

順調に発育しているかどうかを知るために、病気のときだけでなく定期的な小児科の診察が必要です。

 

 

なお、小児科では1日の体重増加量の目安を約30gとしています。

 

外出

 

口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんは上気道感染を起こしやすいので、室温や湿度、肌着などに気をつけます。

 

 

外出はできるだけ控えましょう。それ以外には心配することはありません。健康な赤ちゃんとまったく同じように育てます。

 

離乳

 

離乳も、ほかの赤ちゃんと同じです。

 

 

口蓋裂の赤ちゃんは口の中に裂け目がありますから、そこから食物が鼻に入り込んでこびりつき、悪臭を放つことがあります。できるだけ軟らかい物を与え、食事の後は白湯(さゆ)などを飲ませて口の中を清潔に保ちます。

 

親の役割

 

口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんが生まれると、わが子に対する罪悪感から自殺を考えるなど、否定的な感情が生まれがちです。その一方で、溺愛や過保護なども生じて、親や家族はきわめて不安定な状態になることがあります。

 

 

こうした状態に陥らないように、専門的な治療機関のある病院では、母親教室などを開いています。どのような形態異常なのか、手術や言葉の問題、手術後のことなどが医師から説明されるほか、将来の結婚や就職についても、親を交えて話し合いがもたれます。

 

 

口唇裂・口蓋裂の治療は、医療上の処置だけの問題ではありません。子どもの将来を家族が医師と一緒になって考え、行動することが大切です。

 

 

 

 

 

口唇裂・口蓋裂の手術前の健康チェック

 

手術にあたって特に注意したいのは、近所で麻疹や風疹にかかっている子どもがいる場合です。

 

 

赤ちゃんに症状が出ていなくても、感染して潜伏期であることが考えられるからです。手術前には、手術を担当する医師の指示を受けて、保健所などで近くに感染症の患者がいないかを確認する必要があります。内臓に疾患が発見された場合は、手術を延期します。

 

 

手術が予防接種の時期に重なっているときは、どんな予防接種でも、合併症を起こすのを防ぐために手術の前後最低1か月以上時期をずらします。

 

 

口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんは育児医療制度があり、国や都道府県から医療費の補助が受けられます。この制度を利用して、定期的に小児科医を受診し、赤ちゃんが順調に育っているかどうかをチェックすることが大切です。

 

 

特に母乳の飲み方が悪いときや体重が増えない場合は合併症を起こしているケースが多いので、必ず小児科医に相談しましょう。

 

 

 

口唇裂と言葉異常の治療

 

言葉は、肺から出た空気が声帯、喉頭、咽頭、口腔あるいは鼻腔を通って外に出る間に舌を含めたさまざまな筋肉の働きでつくられる音からなりたっています。

 

 

口蓋裂にみられる主な言葉の障害には、空気が鼻にもれる(開鼻音)、鼻づまりの状態(閉鼻音)、喉がつまったような音(声門破裂音)があります。ほかに、強いささやき声のような音(咽頭摩擦音)、歯で出す音と口蓋を使って出す音のひずみ(口蓋化構舌)、口蓋中央から出るはずの音が側方から出るためのひずみ(側音化構舌)などがあります。

 

 

言葉に異常があるときはまず、言語治療士の診察や検査を受け、診断の結果、必要があれば言語訓練を行います。言語訓練は、週に1回、30分くらいずつ行い、自宅でも同じ訓練を繰り返します。

 

 

訓練で改善がみられない場合は、言語治療士と医師が相談して咽頭弁形成手術を行うことがあります。

 

 

手術後に言葉がはっきりしないのは、手術の傷あとがまだ硬く(硬結)、1~2か月間は動きが悪いからです。飲んだミルクが鼻からもれてくるのも同じ原因で、傷あとの治癒とともに治ります。

 

なかには、手術後にスピーチエイドという器具を使って咽頭のスペースを狭くする方法をとっている歯科医もいますが、手術で十分に目的を達することができます。

 

 

口唇裂・口蓋裂の予防

 

口唇裂・口蓋裂になる原因は、現段階でははっきりと特定できません。それでも原因と考えられる要因を排除することで、予防が期待できます。

 

 

子どもをつくろうというときには、親となる二人の健康管理計画を立て、環境的要因を排除することに努め、妊娠中に使用したら胎児に影響が出るような薬なども事前にチェックしましょう。

 

スポンサーリンク

 

 

関連ページ

【舌がざらつく・唇がただれる】 唇と舌の異常の原因・治療・予防
口内炎などの局所的な病変の背景に、全身的な疾患が潜んでいることもあります。唇と舌は表面が粘膜に覆われており、飲食物などの刺激や、口の中の常在菌の影響を受けやすい部分です。また、からだの変調を反映してさまざまな症状が現れるので、全身の状態を知るうえでのバロメーターともなります。
【口渇・喉の渇き】 の原因・治療・予防|多くは水分の不足から起こる
口の渇きとは、唾液の不足による口内の乾燥感です。喉の渇きは、からだの水分の欠乏によって起こる水を飲みたくなる感覚です。この両方を合わせて口渇といいます。口・喉の渇きの多くは水分の不足から起こりますが、根本的な治療が必要な疾患によるものもあります。
【口内炎】 ウイルス性、カンジダ性、性病、貧血など口内炎の原因はさまざま
貧血があったり、ビタミンが不足すると、口内炎にかかることがあります。また、慢性的な疲労や風邪なども誘因になりやすいといわれます。症状が軽い場合は、食べ物がしみたり、触れると痛い程度ですが、重くなると発熱することもあります。
【口内炎】 アフタ性、カタル性、口角炎など口内炎の種類も症状もさまざまです。
症状が軽い場合は、食べ物がしみたり、触れると痛い程度ですが、重くなると発熱することもあります。口腔粘膜に水疱、潰瘍などができます。多くの場合、1~2週間で治りますが、全身性の病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
【口内炎】 口内炎の治療と予防
全身性の疾患やSTDが原因となって口内炎が現れていると疑われる場合は、まずその疾患の治療を行わねばなりません。ウイルス性の口内炎や、原因不明のものは、対症療法が中心になります。
【味覚障害】 ダイエットや妊娠中の味覚の変化は亜鉛欠乏が原因!?
味覚障害は若い世代にも増加しつつあります。その誘因として、インスタント食品やファストフードの多食、過激なダイエットなど、栄養の偏った食生活があげられます。また、ただし、妊娠中は母体の栄養だけでなく、胎児の成長の分まで栄養をとらなければなりません。そのため、味覚障害の原因となる亜鉛欠乏が起こっている可能性もあります。
【味覚障害】 亜鉛不足だけじゃない!?味覚障害の原因と種類
味覚障害の大きな原因は亜鉛の摂取不足ですが、ほかにも味覚を低下させるいくつかの要素があります。味覚障害は、味覚の伝達経路の障害部位によって、伝導性、感覚性、神経性に分類され、原因もそれぞれことなります。
【味覚障害】 味覚障害の症状・検査と診断
味覚障害の症状は人によってさまざまですが、最も多いのは味覚消失で、味がまったくわからなくなります。味覚障害の診断・治療は耳鼻咽喉科や口腔外科で行われます。大学病院などでは、味覚障害の専門外来を設けている病院もあるので、問い合わせてみましょう。
【味覚障害】 治療(亜鉛の内服)・予防(亜鉛を多く含む食品)
味覚障害の治療の基本は薬物療法で、硫酸亜鉛またはグルコン酸亜鉛という内服薬を服用するのが一般的です。味覚障害の予防は、食事を通じて亜鉛を摂取することに尽きます。
【舌の病気】 舌をチェックしよう!画像で分かる舌の状態 舌苔の原因・症状・治療
食べ物のかすを舌の上に残したまにしておくと、舌苔になることがあります。歯を磨くときに、舌もー緒に磨くと舌苔の予防になります。原因を大きく分けると、口腔内の不潔や不衛生によるものと、消化器系疾患などの病気(原疾患)の一症状として現れる場合の2種類があります。
【舌の病気】 舌苔と似ている舌の病気|舌白板症|カンジダ症|地図状舌|溝状舌|口腔扁平苔癬
舌は思いのほか異常が起こりやすいところです。舌苔と似た症状の病気も少なくありません。舌苔と似ている舌の病気は舌白板症、カンジダ症、地図状舌、溝状舌、口腔扁平苔癬などが挙げられます。
【舌の病気】 気をつけておきたい舌の病気に舌がんや舌炎があります
気をつけておきたい舌の病気があります。なかでもおそれられている病気が舌がんです。舌がんはほかのがんと異なり、目に見える場所にできるため、自分でも発見できるケースが多くあります。舌炎は良性疾患ですが、舌がんに移行するケースもあります。
【口臭】 息が臭い原因の多くは歯垢や舌苔!口臭を消したいときに効果のある予防法
口臭の原因の多くは口内の歯垢や舌苔ですが、全身的な疾患で口臭が生じることもあります。生理的・病的・飲食物による口臭の原因について。口臭を消したいときに効果のある食べ物や飲み物は?口臭を自分でチェックする方法など

このページの先頭へ戻る