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顎関節症の治療・予防 歯を削って噛み合わせを治すのではなくスプリント療法が中心

目次

 


 

【顎関節症】 顎関節症の治療・予防 歯を削って噛み合わせを治すのではなくスプリント療法が中心

 

顎関節症の治療

 

スプリント療法が中心

 

どのようなタイプの顎関節症かによって、治療法は多少違ってきますが、顎関節症の90%以上は、外来での保存療法で症状が消失、あるいは軽減します。

 

治療の基本は、歯を削って噛み合わせを治すのではなく、まず、顎関節症の症状を治すことです。症状が消失してから、噛み合わせに問題があれば最終的に調整を行います。

 

薬物療法

顎関節症そのものを薬で治すことはできませんが、最も多い症状の痛みに対しては、通常、非ステロイド系の消炎鎮痛剤が用いられます。痛みが非常に強い場合には、経口薬ではなく局所麻酔注射が施されます。

 

患者自身の精神的な不安定さが強く、症状がメンタルな因子に影響を受けているとみられる場合には、精神安定剤など向精神薬が処方されることもあります。

 

徒手誘導

顎関節の内部に異常がある場合に、医師が手で、関節を直接動かす方法です。片方の手の親指を患者の口の中に入れ、反対側の手を顎関節部分にあてて、下あごを押し下げます。

 

これは関節円板を正しい位置に戻したり、関節を守る勒帯組織や関節包の中の滑液の循環不全を一時的に回復させる目的で行われます。

 

何回か繰り返すと、関節円板に変形の少ない例では、明らかな効果が表れます。徒手誘導に加えてスプリント療法を行うと、さらに効果が高まります。

 

スプリント療法

顎関節症の治療の主流になっている療法です。スプリントというのは、一種のマウスピースのようなものです。

 

スプリントにはいろいろな種類があり、患部の状態によって使い分けられます。

 

関節内部に異常があり、関節円板や下あごの位置のズレが問題なら、関節保護とズレを修正するために、口を閉じたときに下あごが前へ動くように誘導板が設けてあるタイプのものを使用します。

 

関節の外部に異常がある場合には、かむための筋肉の緊張を緩和させ、関節を安静に保つスプリントを用います。

 

顎関節症の多くは、患者が無意識のうちに行う噛み締めや歯ぎしりなどが症状を進行させる要因となっています。

 

そこで、上下の噛み合わせの間にスプリントを用いて、筋肉の緊張をゆるめ、くいしばりや歯ぎしりから関節や歯を守り、関節内部の損傷を改善すれば、症状が消失、軽減されます。

 

 

患者一人ひとりのあごの大きさや噛み合わせ、歯並びなどに合わせてスプリントを製作し、治療によって噛み合わせが変化したり、スプリントがすり減ったりすれば、細かく調整を繰り返していく必要があります。

 

スプリントは通常、夜間のみ装着すれば十分です。24時間装着していると、かえって歯や関節周囲の組織に変形を起こしてしまうおそれもあり、昼間は意識してセルフコントロールを行うのが有効とされます。

 

パンピング療法

顎関節が癒着したりして、口がほとんど開かないような場合には、顎関節のすき間である関節腔(かんせつくう)に生理食塩水を入れて、関節腔を膨らませ痛みをとるパンピング療法を行うことがあります。

 

理学療法

あごの痛みの軽減のほか、顎関節の運動範囲を広げ、患部や周辺部の血液循環をよくするために、理学療法も用いられています。

 

特に筋肉の緊張や炎症には有効です。温湿布や冷温パックを用いて患部を温めたり、冷やしたりします。気化冷却スプレー、超音波や低周波の治療器も用いられ、筋肉や関節のストレッチを合わせて行う場合もあります。

 

手術療法

顎関節症のほとんどは、保存的治療で治りますが、関節円板の損傷がひどく、関節内で癒着してしまった場合や、骨の変形が強い場合などは、手術が必要になることもあります。

 

関節鏡を挿入して、関節のすき間をのぞきながら数ミリ程度の特殊なメスやレーザーを使用する手術も行われるようになり、からだの負担も少なくてすむようになりました。

 

 

日常生活の改善で顎関節症を予防

 

日常生活の改善で顎関節症を予防

 

無意識の癖や習慣に気をつける

 

治療が開始されても、患者自身の生活や習慣が顎関節に対して悪い影響を与えるものであれば、なかなか症状は改善しません。

 

そこで、日常では患者自身のセルフコントロールが重要になります。特に症状のない場合でも、予防のために次のような点を心がけておきましょう。

 

 

まず、歯のくいしばり、うつぶせ寝やほおづえをつく癖を意識して改めるようにします。

 

噛み応えのあるものをしっかり噛んで食べることは、あごの発達自体には特に悪影響を与えるものではありませんが、極端に硬い物を噛むのはほどほどにしましょう。

 

硬い物を噛みすぎて、噛み違えたりすると、顎関節に悪影響を与えることになりかねません。

 

 

また、歯科の治療を受けた後、噛み合わせに違和感を感じたら、納得がいくまで調整してもらうことも大切です。ただし、もともともって生まれた自分の歯を削る調整は避けなければいけません。

 

歯科の治療で大きく口を開けたり、長時間口を開いた後に口を閉じるときは、ゆっくりと開閉するようにします。

 

そのほか、ストレスは症状を悪化させる場合がありますから、日ごろから細かいことにこだわらず、リラックスして過ごすようにしましょう。

 

机を前にするとついほおづえをつくことは多いものですが、あごの関節に負担をかけ、慢性的な外傷の原因になることがあります。

 

 

クローズドロックの症状と治療

 

クローズドロックとは、何らかの原因で、関節円板が前のほうにズレてしまい、あごを動かしても元の位置に戻らなくなって、口を大きく開けることができない状態をいいます。

 

顎関節が動くときに回転運動はできるものの、円板が邪魔になってしまい、下あごが前にズレる滑走運動がわずかしかできないために起こります。

 

クローズドロックになる前には、多くは円板の前方へのズレがあっても、口を開けると元に戻る状態が先行しています。

 

 

円板が戻るときには、関節からコキッというような雑音が聞こえます。

 

治療法としては、医師が手であごの位置を動かし関節円板の位置を修復するマ二ピュレーション(徒手誘導)があります。

 

痛みが強い場合は薬物療法も行い、ロックが解除できたら、スプリントの装着によって、下あごの位置を調整し、再びクローズドロックが起こらないように治療します。

 

顎関節症の治療は何科を受診するの?

顎関節症を治療するのは、一般には歯科医です。しかし、顎関節症はさまざまな症状が現れる複合疾患で、診断や治療は簡単ではありません。

 

そのため、すべての歯科医が顎関節症に詳しいわけではないので、いつもかかっている歯科医に相談し、必要に応じて紹介してもらうとよいでしょう。

 

また、総合病院の歯科や口腔外科でも対応していますから、問い合わせてみましょう。

 

適切な処置をしてくれる医師を選ぶためには、どこで判断したらよいの?

歯科医が適切な治療をしてくれるかどうかの判断は難しいのですが、見極めるとしたら、顎関節症についてきちんとした説明をしてくれるかどうかです。

 

また、噛み合わせがすべての原因だという医師、すぐに歯を削ろうとする医師には注意が必要です。歯は削ってしまえば、元に戻りませんから、安易に削ると問題が起こる場合もあります。

 

もし、どうしても削る必要があるなら、納得がいく説明をしてくれることが判断の目安になります。

 

顎関節症は適切な治療で治る

 

顎関節症は、かつてはっきりとした正体がつかめず、治療の難しい病気でしたが、病態の解明が進んで治療法も確立されてきました。

 

基本は顎関節内とその周辺に起こる慢性外傷で、顎関節症に詳しい医師の適切な治療を受ければ、ほとんど症状が消失、あるいは軽減します。

 

一方で、顎関節症には精神的な因子がからむ心身症の側面をもつタイプがあり、症状が複雑で、顎関節症そのものの治療だけではなかなか治りません。

 

しかし、精神科の医師との連携がとられるなどの治療法も進んできています。

 

 

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