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顎(あご)の関節

 

複雑な動きで雑食の食生活を支えるほか、顔の表情や全身の健康にも影響します。

 

顎の関節の仕組み

 

顎の関節はかおの左右にあり、外耳孔(耳の穴)のすぐ前にある側頭骨につながる下顎窩(かがくか)と下顎の骨の後上方部である円筒状の下顎頭(かがくとう)、その間にあって顎をスムーズに動かす働きのある関節円板からなっています。

 

つまり、下顎窩と関節円板の間の関節面と、関節円板と下顎頭の間の関節面の二つが組み合わさっているのです。

 

顎の関節の主な働きは、口の開閉をすることですが、口を大きく開けるときには、上の関節面は前側に滑るように働き、下の関節面は回旋するように働きます。

 

顎の関節の発達は、歯の発達と密接にかかわっていて、永久歯の生えそろっている成人では下顎頭が丸く大きく突出しています。歯が生えていない乳児や歯を失った老人では小さく、突出度も低くなっています。

 

噛むという動作は、顎の関節を中心に咀嚼筋(そしゃくきん)とよばれる筋肉や、さまざまな血管や神経、舌や唾液が関連して行われます。

 

また、顎の関節が正常に機能してはじめて、顔の自然な表情が生まれ、全身の健康維持につながります。

 


 

顎(あご)の関節

 

退化する顎

現代人は、昔に比べて顎が小さくなったといわれています。

 

主な原因として、人間の食べ物が、全体的に硬くて食べるために顎の力が必要な物から、軟らかくて簡単に噛んで飲み込める物へと変わってきたことが考えられています。

 

しかし、顎が小さくなったのに比べ、歯の大きさは変わっていません。

 

このため歯と顎に不調和が生じるようになります。

 

正常なら上下32本の歯が生えるはずの永久歯がうまく顎に収まらず、親知らずがまったく生えないケースや、親知らずの一つ前の第2大臼歯(だいきゅうし)まで正常に生えないケースも多くなっています。

 

顎の退化は、大きさだけではなく機能にも現れており、顎の働きが弱く、硬い物を噛めない人が増えています。特に幼児では、食べ物を噛んで飲み込むことがうまくできない子どもが目立ちます。

 

口が開かない顎関節症

顎の働きが弱くなったことに関連して、近年患者が急増したのが顎関節症(がくかんせつしょう)です。

 

顎関節症とは、顎関節周辺が痛み、口を開閉するときにガリガリ、コッキンといった音がします。

 

また、口が開けにくかったり、逆に閉じないなどの症状を総称したもので、特定の病名ではありません。

 

また、顎関節の異常が原因で肩こりや腰痛などを引き起こすこともあり、顎関節は全身の健康にかかわっているといえます。

 

顎関節症の原因は解明されていない点も多いのですが、下顎頭が左右どちらかに傾いたり、関節円板がずれていたり、関節が変形したり傷ついているというような、顎の関節に問題があるのではないかといわれています。

 

また、噛み合わせが悪かったり、食べ物を噛むときに左右どちらかの歯を多く使う偏った咀嚼も影響すると考えられています。

 

治療では、噛み合わせをよくするために歯並びを矯正したり、口の中にスプリントとよばれる装置を入れたりします。

 

人間は雑食なので、噛み切る、すりつぶす、砕くなどさまざまな動きが必要で、顎関節症を治し、下顎が前後左右になめらかに動くように調整することが必要なのです。

 

そのほか、姿勢、精神面などあらゆる角度から治療が行われています。

 

 

口が閉まらない顎関節脱臼

顎の関節は、通常の運動範囲を越えて動かすとはずれてしまうことがあります。

 

大あくびや、硬くて大きい食べ物を無理に噛み切ろうとしたときに顎がはずれる現象を顎関節脱臼といいます。

 

この場合は、早急に歯科や口腔外科へ行き、下顎頭を上顎へはめてもらうことが必要です。

 

関節や靭帯が慢性的にゆるんでいると、日常の食事や会話のときにも脱臼が起こります。これを習慣性脱臼といい、手術や薬物療法が必要な場合もあります。

 

歯並びは哺乳期に決まる!?

 

歯並びが悪いことを歯列不正、歯並びが悪いためにきちっと歯がかみ合わないことを不正咬合といいます。歯並びの悪さには、乳児のころの食生活やくせが大きく影響しています。

 

最も大事なのは哺乳期で、この時期に「かむ」という動作を覚えた赤ちゃんは、離乳食、固形食と移行しても物を噛んで食べる能力があるので十分に顎を使います。

 

顎を使えば、顎の骨も鍛えられよく成長し、永久歯に生え替わる準備ができます。

 

哺乳期に噛む力をつけるためには、お母さんの乳房から母乳を飲む母乳保育がよいといわれ、最近は噛んで飲むタイプの捕乳瓶も市販されています。

 

噛む能力が身についていない赤ちゃんは、顎の発達が不十分となり、そのため生え替わった永久歯が顎に収まらなくなります。

 

この現象は噛まずに取って飲むタイプの哺乳瓶で育った子どもに多いともいわれています。また、指しゃぶりも歯並びに影響します。

 

小さいうちは仕方がありませんが、6~7歳になっても指しゃぶりが治らないと、顎の骨に変形が起こり、奥歯はかみ合っても前歯がかみ合わない開咬や出っ歯になってしまいます。指しゃぶりは4歳くらいまでにやめさせることが必要です。

 

きれいな永久歯の歯並びになるためには、顎の成長と歯の生え替わる時期と歯の大きさなどの調和が必要です。

 

また、乳歯の虫歯を放っておくと永久歯に悪影響があり、鼻の空気の通りが悪いために口で息をする子どもは出っ歯になりやすいことなどもわかっています。

 

永久歯の歯並びのよしあしは、乳歯のころのケアにかかっています。

 

出っ歯、受け口の原因

上下の顎は、前歯が少し重なり、下の顎より上の顎のほうが前方にあるのが普通です。ところが、下の顎が上の顎よりも前に出ており、下の歯が上の歯の前側に噛み合うタイプがあり、下顎前突(受け口)とよばれています。

 

反対に上の顎が下の顎よりも前に出ているタイプが上顎前突(出っ歯)です。

 

これらの不正咬合は、どちらかの顎が前方に出るか後退する骨格性のものと、歯が前後に傾斜して生える歯槽性のものがあります。

 

原因は遺伝と、虫歯を放っておくことや指しゃぶり、口呼吸といったくせなど後天的なものが考えられます。

 

どちらも容姿に影響するほか、きちんと噛めない、虫歯ができやすいなどの問題があるので、早いうちに矯正することが望ましいようです。

 

顎骨が原因の極度な不正咬合の場合には、手術による顎の移動も行います。

 

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