トップへ戻る

貧血の原因とその治療 いろいろな種類の貧血があり、それぞれ治療法が異なります。

目次

 


 

貧血の原因

 

貧血の原因

 

多いのは鉄の欠乏によるもの

 

骨髄の中には、すべての血球のもとである幹細胞という若い細胞があり、これに、ある刺激が加わって、赤血球の前駆細胞である赤芽球になります。

 

赤芽球は、ビタミンB12や葉酸、鉄などの助けを借りて細胞分裂を繰り返し、成熟した赤血球になります。

 

赤血球は約120日で寿命を終え肝臓や脾臓で破壊されます。

 

この経過で赤血球の産生が低下したり、壊れたり、大量の出血が起きるなど、大きく分けて3つのケースで貧血の症状が現れます。

 

赤血球の産生が低下する

赤血球をつくる機能の低下には、幹細胞の異常で血球数が減少する再生不良性貧血、赤芽球の成熟に必要なビタミンB12や葉酸の不足で成熟した赤血球ができない巨赤芽球性貧血、ヘモグロビンの合成に必要な鉄分の不足で十分な赤血球がつくれない鉄欠乏性貧血などがあります。

 

 

赤血球が壊れる(崩壊亢進)

寿命を全うしないうちに赤血球がどんどん壊され、不足した赤血球を補充できない状態のことで、溶血性貧血とよばれます。

 

遺伝によって赤血球自体に異常がある場合や、赤血球を破壊する抗体が体内にできて貧血になる場合があります。

 

出血が続く(赤血球の喪失亢進)

出血で赤血球が血管から漏れてしまう状態です。

 

過多月経や子宮筋腫、痔、胃・十二指腸潰瘍などによる慢性の出血が続くと、鉄欠乏性貧血に移行します。怪我などの出血が原因になることもあります。

 

鉄分の流れと貧血の原因の関係

 

鉄分の流れと貧血の原因の関係

 

貧血の3大原因は出血、赤血球の生産低下、破壊です。

 

最も多いのはヘモグロビンの材料である鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血で、女性に多くみられます。

 

そのほか赤芽球から赤血球が分化するのに必要なビタミンB12や葉酸の不足からくる巨赤芽球性貧血、骨髄細胞の増殖障害のときに現れる再生不良性貧血などがあります。

 

貧血の種類と発生の仕組み

 

貧血の種類と発生の仕組み

 

(1)エリスロポエチンは腎臓で産生され、赤血球の製造をうながすホルモン
(2)骨髄に鉄芽球という特殊な赤芽球がみられる貧血

 

貧血は、赤血球の減少で起きますが、そのパターンには産生の低下、赤血球の破壊、赤血球の体外流出の3つがあります。それぞれさまざまな原因によっていて、貧血の症状も異なっています。

 

 

 

 

 

貧血の原因と治療

 

不足している鉄やビタミンなどを補給

 

貧血はその成り立ちから大きく三つに分けることができます。いろいろな種類の貧血があり、それぞれ治療法が異なります。

 

 

鉄欠乏性貧血

 

赤血球をつくる材料が不足する場合と、骨髄の働きが低下する場合があります。材料不足の代表が、鉄欠乏性貧血です。

 

ヘモグロビン合成に必要な鉄が不足して起きます。貧血全体の約50%以上で、最も多くみられます。

 

鉄分は、食物からとり入れられます。1日に摂取される食物中の鉄分含量は平均約15mgですが、そのなかで吸収される鉄分量は1日に1mg程度です。

 

鉄分を排泄するシステムはなく、体内に入った鉄分は循環しており、繰り返しヘモグロビン合成に利用されています。

 

しかし、一部は皮膚や腸管から脱落して失われます。

 

この量が1日に約1mgといわれるので、健康な人が通常の生活を送っていれば、需要と供給のバランスはうまくとれることになります。

 

 

吸収された鉄分は血中たんぱく質の一種であるトランスフェリンと結合して、大部分は骨髄に運ばれます。

 

また、体内をめぐって約120日の寿命を終えて脾臓にとり込まれた赤血球のうち、ヘモグロビン鉄は放出され、再びトランスフェリンと結合し、骨髄に運ばれてヘモグロビンの合成に再使用されます。

 

 

鉄欠乏性貧血は、このような順調なサイクルが、原料となる鉄分の不足によって損なわれて起きるものです。

 

欠乏の原因としてまずあげられるのが鉄分の摂取不足です。

 

極端な偏食や節食、ダイエットなどをしていると、必要な量の鉄分をとり入れることができず、鉄欠乏になります。

 

特に最近は中学・高校生のみならず小学生などでもダイエットする傾向がみられ、注意が必要です。

 

 

ほかの原因として、過剰な血液の喪失や鉄分の吸収不全などがあります。

 

特に女性の場合、もともと赤血球数が男性より少ないうえに、月経や妊娠、出産により血液が失われます。1回の正常な月経では約20mgの鉄を失い、1回の妊娠から出産までには約1gの鉄が必要となります。

 

妊娠や出産といった喪失の量が増大するときに、適切な鉄の補給を行わないと鉄欠乏となります。子宮筋腫、子宮内膜症などによるものも含め、過多月経の人は、過剰に血液を喪失しやすいので、鉄分を意識して摂取する必要があります。

 

 

また、食品中の鉄は胃で二価鉄となって主に十二指腸から吸収されますので、胃切除後や胃炎、吸収不良症候群では鉄の吸収が妨げられて鉄欠乏となります。

 

 

症状としては、顔面蒼白や動悸など一般的な貧血の症状のほか、鉄欠乏性貧血に特有の症状として、爪が平らに変形したり、ひどくなると反ってさじ状になったり、割れたりすることがあります。

 

また、痛みを伴う舌炎や食べ物を飲み込みにくくなる嚥下困難(えんげこんなん)、嚥下痛などを起こします。

 

鉄欠乏性貧血の治療

 

通常は検査値が正常に戻るまで、最低3~4か月鉄剤を服用します。

 

体内に貯蔵鉄がたくわえられるまで服用しないと、まもなく服用前の状態に戻ってしまうこともあるからです。

 

しかし、鉄剤にばかり頼りすぎるのはよくありません。

 

栄養バランスのよい食事で、鉄分を十分とる食事療法も必要です。

 

鉄分を多く含む食品を参照ください。

 

 

再生不良性貧血

 

赤血球をつくる骨髄が障害を受けたり、赤血球のもとになる幹細胞が何らかの原因により減少するために起こります。

 

赤血球だけでなく、白血球や血小板の数も著しく減少します。薬剤や放射線被曝の後遺症として発生しやすいことは知られていますが、因果関係がはっきりしているケースはまれで、多くの場合、原因はわかっていません。

 

 

大半のケースはゆっくり進行するので、顕著な自覚症状はすぐには出てきません。

 

しかし、白血球の減少も起きるため、貧血の症状だけでなく、気管支炎や肺炎、髄膜炎などの細菌性の合併症も起こしやすくなります。

 

また、血小板減少の症状として、青あざや紫斑ができる皮下出血や、細かい点状の出血斑ができたりします。傷を負うと出血が止まりにくくなり、歯を磨いたときに出血なども起きやすくなります。

 

再生不良性貧血の治療

 

再生不良性貧血の場合は、骨髄の細胞数が減少し、脂肪組織に変化してしまうので、鉄やビタミン剤の投与では改善されません。

 

治療はかなり難しいのですが、赤血球の減少が軽度あるいは中程度の場合には、たんぱく同化ホルモンが有効で、造血作用を高めることができます。

 

また、自己組織を破壊する免疫障害的な反応により、幹細胞が減少する例があることがわかってきました。こうしたケースでは、免疫抑制療法として、副腎皮質ホルモン剤などを用いることがあります。

 

治療が効果を示さなければ、何度も輸血せざるをえなくなります。患者が40歳以下で、家族に適合者がいれば、骨髄移植が行われることもあります。骨髄提供者を骨髄バンクに登録した人から探すこともあります。

 

巨赤芽球性貧血

 

別名、悪性貧血ともよばれます。赤血球の核の成熟に必要な栄養素であるビタミンB12や葉酸が欠乏して起こります。

 

これらが不足すると、異常に大きい赤芽球となり、正常に成熟した赤血球ができなくなります。

 

ビタミンB12はいろいろな動物性食品に含まれているので、通常の食生活をしていれば不足することはありません。

 

しかし、胃の全摘手術を受けた人や胃の機能の衰えた高齢者などは、うまく吸収できないため、不足しやすくなります。

 

 

葉酸は野菜やきのこ、レバーなどに含まれているビタミンで、偏った食生活をしていると不足してしまいます。

 

アルコール依存症者の場合、栄養障害が起こりやすいことに加えて、アルコール飲料が葉酸の吸収を妨げることも誘因になります。

 

 

ビタミンB12も葉酸も細胞のDNA(デオキシリボ核酸)の合成に必要なビタミンなので、欠乏すると全身に悪影響を及ぼします。

 

なかでも骨髄に与える影響が大きいといわれています。

 

 

一般的な貧血の症状のほか、口腔や舌の痛み、食欲不振、便秘、下痢といった消化器系の症状、手足に起きるビリビリとしびれるような感じや知覚の低下、歩行障害といった神経症状などが特徴です。

 

白血球や血小板も減少することが多く、感染や出血をしやすくなります。

 

巨赤芽球性貧血の治療

 

ビタミンB12欠乏に対しては、ビタミンB12を注射します。葉酸欠乏の場合は内服薬で補給します。

 

 

 

腎性貧血

 

慢性腎不全に伴って、赤血球の産生を刺激するホルモンであるエリスロポエチンが欠乏することによって起こります。

 

腎不全の程度が強くなると、貧血も目立ってきます。

 

腎性貧血の治療

 

エリスロポエチンの投与を基本とします。

 

鉄欠乏性貧血を合併している場合は、鉄剤も併用します。

 

鉄芽球性貧血

 

鉄芽球という特殊な赤芽球が増加して起きる貧血です。

 

先天性、薬剤や鉛中毒によるもの、原因不明の後天性の貧血などいろいろなケースがあります。

 

 

倦怠感や息切れ、顔面蒼白などが起きます。

 

また、この貧血の場合は鉄貯蔵量が増大し、しばしば肝機能障害、心不全など鉄過剰症の症状も合併し、進行すると生命にかかわることもあります。

 

鉄芽球性貧血は、ときに急性白血病に移行することもあります。

 

鉄芽球性貧血の治療

 

薬剤が原因の場合は、使用を中止します。先天性の場合は、ビタミンB6と葉酸を投与します。

 

輸血が行われることもありますが、鉄過剰状態を進行させてしまう欠点があるので、必要最小限にする必要があります。

 

赤芽球癆(せきがきゅうろう)

 

骨髄で赤血球系だけが低形成を示し、赤血球の産生が低下して起きる貧血です。

 

ウイルス感染や薬剤による急性のタイプと、自己免疫疾患の性質をもつ慢性のタイプとがあり、慢性の場合は胸腺腫を合併する例が少なくありません。

 

顔面蒼白や動悸などのほか、胸腺腫を合併している場合は、重症筋無力症を伴い、脱力や眼瞼下垂などを起こすこともあります。

 

赤芽球癆(せきがきゅうろう)の治療

 

急性の場合は、自然治癒が多くみられます。薬剤が原因の場合は投与を中止します。

 

慢性の場合は、各種の免疫抑制剤を使用します。

 

 

サラセミア

 

ヘモグロビンを構成するグロビン鎖の不均衡によって起きる遺伝性の貧血です。

 

地中海貧血の別名があり、地中海沿岸からインド、東南アジアに広くみられる貧血ですが、日本では多くありません。

 

大多数は軽い貧血で特に症状を示しませんが、重症型は幼少時に発症します。

 

貧血症状のほか、鉄過剰も起きるため、進行すると、副腎機能不全や心不全のような重篤な症状を起こします。

 

サラセミアの治療

 

鉄過剰のため、輸血は必要最小限にとどめなければなりません。脾臓摘出の手術を行うこともあります。

 

無トランスフェリン血症

 

鉄を骨髄へ運搬するのに必要なトランスフェリンが極端に減るために、ヘモグロビン合成が妨げられて起きる非常にまれな貧血です。

 

無トランスフェリン血症の治療

 

先天性の場合は、トランスフェリンの補充が有効です。

 

溶血性貧血

赤血球は約120日間で破壊され、新しいものに入れ替わっていきますが、壊れる数がつくられるものより多くなってしまう場合を溶血性貧血とよびます。

 

実際には赤血球が足りなくなったことを身体が感知して、骨髄で通常以上の造血をしますが、それでも間に合わず貧血になる状態です。

 

 

赤血球自体に原因がある先天的なタイプと、赤血球をとりまく血漿や血流に原因がある後天的なタイプがあります。

 

先天性溶血性貧血

 

赤血球膜に異常のある遺伝性球状赤血球症や、赤血球の代謝に異常のある酵素欠損症、異常ヘモグロビン症などがあります。

 

先天性なので、多くの場合、幼児期に発症します。

 

 

症状は比較的軽度なものから、重症までさまざまですが、しばしば黄疸を伴います。

 

赤血球が脾臓をはじめとする処理組織の細胞にとり込まれると、ヘモグロビンは遊離して鉄とヘムとグロビンに分解されます。

 

ヘムは代謝されてビリルビンという色素になります。

 

 

溶血性貧血では、赤血球が過剰に破壊されるため、ビリルビンの量が増加し、肝臓の処理能力を超えてしまうことがあります。

 

処理されなかったビリルビンが血液中にたまってしまい、黄疸となって現れます。

 

 

黄疸は一般的に、肝炎や胆石の症状として知られていますが、溶血性貧血では、よく胆石を合併します。

 

胆石もビリルビンの増加と関係しています。

 

 

黄疸や胆石という現象から肝臓病と診断され、貧血が見過ごされることもあります。貧血傾向があり、慢性の黄疸、胆石のある場合は、溶血性貧血の可能性があります。

 

先天性溶血性貧血の治療

 

先天的に赤血球自体に障害があるので、根本的な治療法は残念ながらまだありません。

 

最も多い遺伝性球状赤血球症には、脾臓の摘出術が有効です。

 

新生児溶血性貧血

 

出生時の母子間血液型不適合により起こることがある貧血です。

 

ABO式血液型の不適合と、母親がRhマイナスで胎児がRhプラスのときに起こる場合とがあります。

 

新生児に、出生後しばらくして黄疸と重症の貧血がみられます。

 

新生児溶血性貧血の治療

 

光線療法や交換輸血を行うことがあります。

 

自己免疫性溶血性貧血

 

赤血球を破壊する抗体によって起きる貧血です。

 

多くは原因不明ですが、膠原病やリンパ腫などの病気や薬剤などの作用によって起こることもあります。

 

自己免疫性溶血性貧血の治療

 

免疫抑制療法として、副腎皮質ホルモン剤の投与が効果的です。

 

発作性夜間血色素尿症

 

幹細胞に突然変異が生じて起こる溶血性貧血です。夜になると周期的に溶血が起きるので、この名前があります。

 

まれに急性白血病へ移行することもあります。

 

 

起床時に黒褐色のヘモグロビン尿が出ることが特徴です。その他の症状としては、出血しやすかったり、静脈血栓症が起こりやすいことがあげられます。

 

発作性夜間血色素尿症の治療

 

治療法はまだ確立していませんが、骨髄移植により異常クローンを排除し、正常クローンによって置き換えることが、現在のところ唯一の根治療法です。

 

また、造血促進作用のあるたんぱく同化ホルモンの投与のほか、出血や血栓予防のための治療を行います。

 

脾機能亢進症

 

肝疾患、悪性リンパ腫、白血病など、さまざまな病気が原因で脾臓が腫れ、貧血を起こす症候群です。

 

腹部圧迫感や、貧血の一般的症状、出血などの症状が出ます。

 

脾機能亢進症の治療

 

原因となっている病気の治療のほか、脾臓摘出を行うこともあります。

 

出血性貧血

 

身体のどこかに出血が起き、失われる赤血球が、骨髄でつくられる量より多いために貧血を起こす場合です。

 

病気と外傷によって引き起こされる場合があります。

 

一般的な病気では、胃・十二指腸潰瘍、出血性胃炎、胃がん、大腸がん、痔といった消化管からの慢性出血などがあげられます。

 

 

このほか女性の場合は、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がんなどによる性器からの出血が原因となることもあります。

 

出血が継続して起こると、鉄欠乏の状態にもなります。

 

出血性貧血の治療

 

貧血の原因となっている傷や、疾患の治療を行います。

 

スポンサーリンク

 

 

関連ページ

貧血とは
赤血球やヘモグロビンが不足すると貧血になります。自覚症状がない場合も多いため、知らずに悪化させてしまうことがあります。
貧血の症状・検査 自分でできる貧血チェック!
貧血の症状・検査など詳しく解説しています。貧血でお悩みの方は参考にしてください。貧血症状の出方や重症度はヘモグロビンの減少の程度と、貧血の進行具合によって異なります。血液の検査はどんなクリニックでもでき、結果も数日で出ます。貧血の診断は簡単ですが、ほかの病気との鑑別や、貧血の種類の特定には、さらにくわしい検査が必要になります。
貧血を予防する食生活(鉄分・葉酸・ビタミンB12を多く含む食品)
日ごろから貧血の予防に努め、発症したとしても早期治療と回復を得られるように対策しましょう。鉄を多く含み、吸収率も高い食品を正しく摂取することによって、貧血を予防することができます。赤血球産生(造血)の時に不可欠な栄養素に葉酸があります。また、ビタミンB12が不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こします。
貧血の知恵袋・質問集
貧血についてのよくある質問をまとめた知恵袋質問集です。貧血に対する疑問解決にお役立てください。

このページの先頭へ戻る