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斜視の種類・原因・検査・治療|家庭で出来る斜視のチェック

目次

 


 

遠くをぼんやり見ているときや眠い時、斜視がしばしば現れます。ふだんから子どもの様子を観察すれば、ほとんどの斜視は発見できます。

 

こんな症状に注意
  • まぶたをパチパチさせますか?
  • 目を細めて物を見ますか?
  • 片方の目をよくつぶることはありますか?
  • 物を見るとき、わずかに顔をそむけますか?
  • 遠くを見ているときなど、片方の瞳の位置がずれていませんか?
  • 鼻のつけ根をつまんだとき、左右の目が対象ですか?

 

視力の低下や弱視を招くだけでなく、外見的な特徴からいじめの対象になる場合もあるので、早期発見と適切な治療が大切です。

 

斜視とは?

 

斜視の種類・原因・検査・治療|家庭で出来る斜視のチェック

 

両眼の視線が一点に集中しない

 

物を見るときは、眼球を対象物に向けますが、正常な状態であれば左右の目を動かし、視線を一点に集中させます。両方の目で見ることで、脳の中で一つの像としてまとめあげ、立体感を得るためです。

 

 

しかし人によっては、視線を集中させることができず、両眼で同時に同じ物を見ることができない場合があります。両眼の視線が目標に向かって交差せず、一方の視線が目標とは別の方向に向かっている状態になっているのが斜視です。

 

 

眼位が正常な位置からずれた状態のことを眼球偏位とよびますが、その代表が斜視です。

 

 

眼位のずれが斜視ほど大きくはないものの、正しい両眼視ができず、潜在的に斜視になる可能性をもっている場合を斜位といいます。

 

 

斜視は視力の低下や弱視などの原因になるだけではなく、感覚機能や運動機能の発達を妨げる危険性も含んでいます。さらに成長してから、劣等感やいじめといった心理的・社会的な諸問題の原因となる可能性も秘めています。こうした理由から、早期発見、早期治療が重要とされていて、現在、3歳児健診で視力検査が行われるようになっています。

 

 

斜視の種類

 

斜視は、その現れ方、斜視角の差、眼位のずれ方などでさまざまな種類があります。子どもの目を注意深く観察して、次のような異常がないかをチェックしましょう。

 

内斜視 外斜視 上下斜視

内斜視

正面を見たとき、左右どちらかの瞳孔が内側にずれています。乳児の斜視のほとんどが先天性の内斜視です。

外斜視

左右どちらかの瞳孔が外側を向いています。多くはぼんやりしているときに起こる間歇性外斜視(かんけつせい)です。

上下斜視

瞳孔が上または下に向いています。単独で現れることは少なく、内斜視や外斜視を伴うケースが大半です。

 

斜視角の変化による分類

 

斜視の程度は角度で表し、その角度を斜視角といいます。眼球を動かしても斜視角が変わらない場合を、共同性斜視といいます。それに対して、眼球を動かすと斜視角が変わるものが非共同性斜視です。非共同性斜視は、眼筋の麻痺によって生じる麻痺性斜視と、上向きと下向きの眼位で差のあるA-V斜視に分かれます。

 

 

子どもの目の観察は、静止状態だけでなく、上下左右に動かしたときに調べることも欠かせません。

 

斜視が現れる方向による分類

 

まっすぐに正面を見たとき、別の方向を向いている目がどの位置にあるかによって、内斜視(寄り目)、外斜視(はずれ目)、左眼上斜視(右眼下斜視)、右眼上斜視(左眼下斜視)、外方回旋斜視、内方回旋斜視に分類されます。

 

 

眼位が水平方向にずれるのが水平斜視で、内斜視と外斜視があります。内側を向いていれば内斜視、外側を向いていれば外斜視となります。生後6か月までの乳児に発症する斜視の多くは、乳児性内斜視(先天性内斜視)です。遠視を過剰に調節してしまう調節性内斜視は幼児にしばしばみられます。

 

 

眼位が上下にずれている場合は上下斜視です。右眼を固定したとき左眼が上方にずれていれば左眼上斜視ですが、左眼を固定すれば右眼下斜視になります。同じように右眼上斜視とは、左眼を固定させた状態のことで、右眼を固定させれば左眼下斜視になります。

 

 

一方の瞳孔を固定させたとき、反対側の瞳孔が垂直線に対して外側に回り込むようにずれるのが外方回旋斜視、内側に回り込むようにずれるのが内方回旋斜視です。

 

 

これらのうち最もよくみられるのが内斜視と外斜視ですが、水平斜視と上下斜視が合併して現れることもあります。

 

斜視の現れ方による分類

 

恒常性斜視、間歇性斜視、周期性斜視が主なものです。

 

 

恒常性斜視は常に斜視が現れている状態のものをいいます。間歇性斜視は、疲れているときや遠くをぼんやり見ているとき、眠くなったときなどに、一方の眼球が内側か外側に向いてしまうものです。

 

 

外斜視のうちで最も多いのが間歇性外斜視です。周期性斜視は、周期的に斜視が現れるもので、代表的なものに1~2日間隔で内斜視になる隔日性内斜視があります。

 

 

ほかに、斜視が一方の目にだけ現れる片眼性斜視や、右眼と左眼にかわるがわる現れる交代性斜視があります。子どもの一方の目だけに気をつけるのではなく、両方の目への注意が必要です。

 

 

斜視の原因

 

なぜ人によって斜視が現れるのかについて、現代医学でもまだ原因を完全に究明できてはいません。ただ、単一の原因ではなく、さまざまな原因が複合して現れるのだろうといわれています。

 

 

現在までに考えられている斜視の原因として、両眼の網膜に結ばれた像を一つのものとして認識する融像機能の異常や発達段階での視運動の中枢または末梢での障害があります。

 

 

さらに、片眼または両眼の視力障害、外眼筋または眼窩(がんか)の構造上の異常、眼筋の麻痺、水晶体での屈折異常と毛様体での調節の異常、脳障害、遺伝なども原因としてあげられます。

 

 

なかでも、先天的な斜視が多いことはわかっていて、斜視が遺伝することも早くから知られていました。しかし、遺伝によって実際に発症する割合は低いとされ、現在では、斜視そのものが遺伝するのではなく、斜視を起こす因子が遺伝すると考えられるようになってきました。

 

 

生まれつきの異常のほかに、片眼あるいは両眼の視力が弱いことが、斜視の原因になることもあります。

 

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、右眼と左眼で見た像を脳の中で一つの立体像としてまとめる両眼視ができませんが、成長するにつれ、だんだん上手になっていきます。通常、3~4歳ぐらいまでに大人と同じように物を見る機能ができてきて、6歳ぐらいまでに両眼視機能が完成するといわれています。この両眼視の発達段階で斜視が現れると弱視になり、それによってさらに斜視が進むこともあります。

 

 

さらに、事故や病気が原因で斜視になることもあります。特に大人になってから斜視になる場合のほとんどが、交通事故などによって眼筋が麻痺し、眼球を動かすことができなくなるためといわれています。

 

 

斜視の検査

 

斜視は早期の発見と治療が大事です。特に乳幼児は、物が見えにくいという視力障害について、親に正しく訴えることができません。親が子どもの目を注意深く観察し、異常やその兆候を早期に発見することが大切になります。

 

 

親が子どもの斜視を発見するポイントは、子どもがぼんやりとしているときに片方の瞳孔が外側や内側にずれている、明るい屋外に出るといつも片目をつぶる、顔をわずかにそむけてテレビを見るなどです。こうした様子がみられたら、3歳児健診を待たずに眼科医の診断を受けたほうがよいでしょう。ちょっと首をかしげて物を見るときも受診しましょう。

 

 

また、家庭でも簡単にできる斜視のチェックに、フラッシュ内蔵のカメラで子どもの写真を撮ってみる方法があります。

 

 

目に反射したフラッシュの光が瞳孔の位置にあれば問題はありませんが、反射した光の位置と瞳孔の位置にずれがあれば、斜視の可能性があります。同様に、ペンライトを使って、光が瞳孔に反射しているかどうかを調べる方法もあります。

 

 

一般的に、乳幼児段階で発見しやすいのは内斜視で、しかも恒常性のものです。それに比べて間歇性の斜視は発見しにくくなっています。外斜視で斜視角の小さなものは、大人になってからでないと発見しにくいといわれています。

 

 

診療において、専門医はまず問診を行います。発症の時期、発見者は誰か、眼位がずれるのはいつものことなのか時々なのか、家族に同様の症状の人がいるか、患者に特徴のあるくせがあるかなどが尋ねられます。

 

 

また、幼少時の写真を見せてほしいと言われることもあります。これらは、先天性の斜視なのか、何らかの機能障害によるものなのかという原因を突きとめるためです。したがって家族は、乳幼児の日常の様子や瞳孔の位置などについて注意深く観察し、写真や記録などを残しておくとよいでしょう。

 

 

さらに症状に応じて、視力検査、屈折・調節検査、眼底検査、眼球運動検査、プリズムによる斜視角の測定などを行い、眼位のずれ具合や斜視角の状態などをチェックします。同時に、網膜や視神経の病気などの目や脳の異常がないかも調べられます。これらの検査結果をもとに、治療法が決められます。

 

 

家庭で出来る斜視のチェック

向かい合って、両眼の中央に光を当てます。光が一方の瞳孔にあり、ペンライトを持つ手と子どもが頭を動かさない状態で、もう一方の瞳孔に光があれば斜視ではありません。

 

 

斜視の治療

 

斜視は、眼位ずれによる視力の低下を引き起こしたり、両眼視機能が失われるなどの原因になります。したがって治療は眼位の矯正、視力や両眼視機能の回復などを目的とします。

 

 

治療法には、眼鏡による矯正、手術、薬物の投与、視能訓練があります。

 

 

さまざまな種類がある斜視のなかで、眼鏡の装用で治療できるのは、遠視を調整しようとしたときに起こる調節性内斜視です。遠視用眼鏡を用いて遠視の矯正を行うことで斜視を治します。

 

 

眼位や屈折などの検査を行っても眼球や視神経などに異常がみつからない視力障害を弱視といいます。内斜視でも、弱視があれば、眼鏡で斜視は治せても眼位が一定しない場合があります。しかも、放っておくと、弱視の改善は期待できません。そのため、弱視がみられれば、弱視治療を優先させることになります。

 

 

眼鏡で矯正できる斜視以外は手術によって治療します。手術では、眼球を動かす眼筋の位置をずらします。方法としては、直筋を縮める前転術と直筋をゆるめる後転術とがあります。

 

 

また、手術直後には眼位が正常になっても、しばらくすると再び斜視状態になる「もどり」が起こることもあります。

 

 

そのため医師は「もどり」を見越して過矯正をすることもあります。例えば外斜視の場合、手術直後は若干内斜視となり、物が二重に見えることがあります。

 

 

手術によっていったんは眼位が正常になっても、年齢を重ねるとまた斜視状態になり、再手術が必要になることもあります。手術を受ける場合は、それらのことも含めて、医師から十分な説明を受けましょう。

 

 

ボツリヌス菌が斜視の治療に効果

 

毎年夏になると食中毒のニュースが家庭をにぎわせます。その原因の一つである細菌のボツリヌス菌が、海外では斜視の治療に用いられています。日本でも治験が終わり、現在では斜視注射法(ボツリヌス菌の注射)を斜視の治療として行っている病院があります。

 

 

ボツリヌス菌とは、細菌性食中毒のなかでも最もおそろしい症状を起こさせるもので、この食中毒にかかると、食後2~4時間ほどでめまいや頭痛が始まり、視力低下などの症状が現れます。さらには全身の筋肉が麻痺して、声がかすれる、物が飲み込めない、呼吸ができないなどの症状が出ます。ボツリヌス菌自体には毒性はありませんが、それがつくりだす毒素が有害なのです。

 

 

斜視治療で注目されたのは、ボツリヌス菌が筋肉を麻痺させる効果をもっていることです。この効果を残したまま、無菌化状態にして目に注入すると、その部分の眼筋が麻痺して、斜視が治るのです。

 

 

斜視と偽斜視の見分け方

 

斜視ではないのに、外見上、斜視にみえる状態を偽斜視といいます。乳幼児によくみられる現象で、多くの場合、外観上は、瞳孔が顔の中央部に寄った内斜視状になります。

 

 

しかし、両眼の間の鼻のつけ根部分をつまんでみると、瞳孔の位置は正常であることがわかります。乳幼児の鼻の根元の発達が十分ではないため、両眼の間が離れてみえるからです。お年寄りが「子どものうちの寄り目は心配いらない」というのはこの偽斜視のことで、鼻のつけ根をつまんでも斜視状態なら、眼科医の診察を受ける必要があります。

 

  • 一見、両眼が内側に寄っているように見えるため、斜視と思われがちですが、実際は偽内斜視です。乳児の約20%にみられます。
  • 偽内斜視では多くの場合、鼻のつけ横をつまむと、斜視が治まります。偽内斜視は成長するとともに自然に解消されます。

 

子どもが斜視であったり、その可能性がある場合に早めの治療が必要なのは、外見的特徴から、保育園・幼稚園・小学校などでいじめの対象になることが報告されているからです。子どもを精神的に苦しめることにもなるので、3歳児健診などでの早期発見が必要なのです。

 

 

ただし、せっかくの3歳児健診を生かすには、ちょっとした注意が必要です。

 

 

というのは、発達の個人差にもよりますが、一般に3歳前半では理解力がまだ十分でなく、視力検査を正確に行うことができません。できれば理解力が進んだ3歳後半に健診を受けるとよいでしょう。

 

 

最近では、視能訓練が知られるようになってきました。手術をきらう人が、視能訓練で斜視が治せると考えることもあるようです。しかし、視能訓練で成果が得られるのは、目の機能がある程度以上残っている場合だけで、両眼視機能が完全に失われているような場合は、視能訓練だけで斜視が治せることはありません。

 

 

手術を受けた場合は、再発していないか、術後も医師の指示に従って必ず定期的な検診を受けることも大切です。

 

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