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子どもの難聴の原因・症状・予防・難聴の遺伝など

目次

 


 

こんな症状に注意
  • 妊娠中に風疹にかかりましたか?
  • 幼児語が出ていますか?
  • 言葉の発達が遅いですか?
  • 風邪をひいて耳だれが出ていますか?
  • 異常な発音がありますか?
  • 後ろから声をかけると振り向かないことがありますか?
  • テレビやゲームの音を大きくしていますか?

 

言葉が聞きとりにくいと、子どもは言葉を覚えられません。日常のよぴかけが難聴を早期に発見するきっかけになります。

 

子どもの難聴

 

子どもの難聴の原因・症状・予防・難聴の遺伝など

 

音は強弱と高低で測定され、それぞれ強さは音圧(デシベル=dB)、高低は周波数(ヘルツ=Hz)で表します。音圧が高いと音量が大きくなり、周波数が高くなると高音になります。

 

 

人間が聞くことのできる音の強さは0~130dBで、高低は16~20,000Hzまでといわれ、これを聴野とよんでいます。

 

人間の話し言葉の音域は100~10,000Hzの範囲にあり、会話やテレビやラジオの音声などは、聴覚が最も敏感な1,000Hz周辺に多く分布しています。

 

 

難聴は、耳の聞こえの能力である聴力が低下した状態をいいます。

 

空気中を伝わってきた振動を音として感知できなかったり、音の情報を脳に伝える経路のどこかに障害があり、音が聞こえにくくなる病気です。

 

 

難聴の子どもは言葉を覚える能力はありますが、音の一部あるいはほとんどが聞こえないため、言葉による情報を十分に、ないしはまったく知覚することができません。

 

放置すると言葉を覚えることができなくなります。このため、知的障害と間違われることがあります。

 

 

重度の難聴は、音に対する反応がないことから乳児期に親が気づくケースが多いのですが、軽度の難聴の場合は大きな声には反応するので気づくのが遅れます。

 

難聴とわかるのは、言葉が急激に発達する1歳半から2歳以降になることが多いようです。

 


 

 

 

 

子どもの難聴の原因

 

難聴には内耳や脳の神経系などの感音系器官の障害が原因の感音性難聴と、外耳や中耳などの伝音系器官の障害が原因で起こる伝音性難聴、両方が混在する混合性難聴があります。

 

感音性難聴

 

感音系の障害をきたす原因にはさまざまな疾患があります。先天性の感音性難聴の原因としては、小頭症やアルポート症候群のほか、風疹やサイトメガロウイルス感染症など妊娠初期の母親の病気や、薬物の服用によるものなどがあげられます。

 

習慣性流産を経験した後の出産で、先天性難聴の子どもが生まれるケースもあります。

 

 

重症新生児黄疸が原因の難聴は出生直後の光線療法や交換輸血で発症を予防できるようになりました。

 

現在みられるのは、体重1,500g以下の低出生体重児の新生児仮死と低酸素症によると考えられている感音性難聴です。

 

 

出生後の病気では、内耳炎を起こす麻疹(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)、髄膜炎が子どもの難聴の3大原因といわれてきました。

 

このうち麻疹とおたふく風邪にはワクチン接種という予防対策がありますが、髄膜炎は現在では予防が困難です。まれに、結核にかかった子どもに対するストレプトマイシンやカナマイシンなどの抗結核薬の投与が難聴の引き金になることがあります。

 

 

子どもの感音性難聴の原因で、最近増加傾向にあるのが音響外傷です。

 

音響外傷は、強大な音が原因で内耳に障害が起きるものですが、音の周波数が高いほど短時間で発症します。

 

 

音響外傷には新生児室の騒音がかかわっているのではないかという説がありますが、むしろ成長の過程での大音響が原因となる場合が多いようです。

 

例えば親が幼児や小学生を音楽コンサートなどに連れていき、大音響のなかで2時間過ごしただけで難聴になったケースがあります。また、ヘッドホンで大音量の音楽を聞いて難聴になったりもします。

 

伝音性難聴

 

子どもの伝音性難聴で最も多い原因は中耳炎です。

 

治っても、人のささやき声が聞きとりにくくなったり、普通の会話が聞こえにくい軽度から中等度の難聴が起こることがあります。

 

 

両耳が滲出性中耳炎になると、軽い難聴をきたします。ほこりと分泌物が一緒になって外耳道につまる耳垢塞栓も難聴の原因になります。

 

 

このほか、先天性外耳閉鎖症や、鼓膜に伝わった空気の振動を内耳に伝える耳小骨の形の異常などがあります。

 

先天的な伝音性難聴の赤ちゃんのほとんどは、耳の形態異常を伴っています。

 


 

 

 

 

子どもの難聴の症状

 

感音性難聴では、小さな音が聞こえないだけでなく、言葉を聞き分ける能力(語音明瞭度)も落ちています。

 

正常な聴力をもっている場合に比べて、耳に入ってくる音をうるさく感じる補充現象を伴うことが多くなります。

 

 

重度の感音性難聴のなかで、90dBの音が聞こえない状態を聾(ろう)といいます。

 

自分の声も聞こえないので、言語を習得する前に両耳の聾状態を放置すると、言葉をしゃべることができない聾唖(ろうあ)になります。

 

 

外耳や中耳の病気が原因で起こる伝音性難聴は、ほとんどの場合外からの大きな音は聞こえます。

 

感音機能が正常なので自分の声を明瞭に聞くことができ、語音明瞭度も正常です。

 

 

胎児の聴覚器官は比較的早くから発達し、妊娠6か月ごろには内耳の諸器官ができます。このため音の聞こえが正常な場合、新生児は近くでベルなどの音がすると、からだを動かしたり動きを途中で止めたりします。

 

成長とともに音の識別能力は急激に発達し、3か月を過ぎると親の声のするほうを振り向くようになります。

 

 

6か月になったころに、赤ちゃんが後方の音に気がついて振り返れば、感音系の聴覚器官は正常とみてよいでしょう。

 

赤ちゃんは出生直後から母親の声を聞いています。このため、聴力が正常な赤ちゃんは、まだ言葉がわからないときから言葉の抑揚をまねします。

 

 

比較的軽度な難聴の子どもは、大きな声は聞こえても、ささやきや、つぶやきのような小さな声を聞きとれません。

 

声をかけると反応するのですが、音圧の小さい音が聞こえないために「・・・です」という言葉の語尾のすや、「バイバイ」のイが聞きとれません。

 

 

言葉のなかに聞こえない部分があったり、微妙な部分が聞き分けられないと、赤ちゃんは言葉を覚えることができず、言葉の発達が遅れます。

 

大きな声には反応するので、難聴に気づくのが遅れる場合もあります。

 

 

これに対して、感音性難聴も伝音性難聴も、重度の難聴は音にほとんど反応しないので、保護者が早期に発見するケースが多くなります。

 

保護者が難聴に気づくのは、よんでも返事がない、振り向かない、耳元で大声を出してはじめて振り向くなどがきっかけになります。

 

 

1歳を過ぎても大人のよびかけに知らん顔をしている、「マンマ」「ブーブー」のような一語文が出ないといった症状がある場合は、難聴を疑って専門医に相談しましょう。

 


 

 

 

 

子どもの難聴の予防と早期発見

 

妊娠初期に風疹にかかった母親から生まれる赤ちゃんの50%は中等度の難聴になり、30%は高度な難聴か聾になるといわれています。

 

感音性難聴を防ぐには、妊娠前に風疹抗体価を医師に調べてもらい、陰性ならワクチンの接種を受けて感染を予防しましょう。

 

 

伝音性難聴を予防するポイントは、中耳炎を起こさないようにすることです。

 

風邪に注意して、特に滲出性中耳炎の原因となる病気を予防しましょう。また中耳炎にかかったら、早期治療を心がけることが大切です。

 

 

難聴ではないかという疑いがあれば、3歳児健診を待たずに専門医に相談して早期の発見に努めましょう。

 

現在の医学では有効な治療方法のない重度の難聴の子どもでも、専門的な言語教育を含めた早期の療育を開始すれば、耳の聞こえのよい子どもと変わらない社会生活を送ることができます。

 


 

 

 

 

難聴の早期発見と対策

 

有効な治療法がない難聴児が言葉を獲得するためには、早期の発見と治療教育(療育)が必要です。

 

一般に療育とは、医学的知識を活用して障害のある子どもを治療教育することを指します。

 

 

難聴児の場合は、補聴器を使って音に対する興味をよび覚まして言葉の意味の理解を促し、言葉のやりとりができる力(聴能)を訓練することが課題です。

 

2歳を過ぎて言語発達の遅れがあったり、ささやき声に対する反応がみられない場合、治療と教育を一体的に進める必要があります。

 

 

専門医を中心に医療言語聴覚士、ソーシャルワーカーなどでチームを組んでいる難聴の専門的医療機関には、療育に不可欠な補聴器の装用に関する指導態勢が整っています。

 

子どもは3歳ごろに基礎的コミュニケーションの力を身につけ、4歳ごろには文章を構成する力が伸び、5歳からの多弁期を経て言葉を2,600~3,500語に増やします。

 

学童期に入ってから始まる第二期言語発達期までは、家庭と病院の連携した取り組みが重要です。

 


 

 

 

 

難聴の遺伝

 

難聴には遺伝するものとしないものがあり、統計では遺伝性の難聴が多くなっています。

 

感音性難聴には遺伝性の原因が多く、そのほかの場合は風疹や薬物の副作用など原因がはっきりしています。

 

 

言葉が遅いことで難聴に気づいた子どもの伝音性難聴で、遺伝が原因と考えられるのは約3分の1です。

 

難聴は、ほとんどの場合早期に発見して治療・療育することで、難聴のない子どもと変わらない社会生活を送ることができます。

 

乳児の聴覚発達度チェック

 

0か月

  • 突然の音にビクッとする、まぶたをきつく閉じる。
  • 睡眠時の大きな音でまぶたを開ける(覚醒反射)。

1か月

  • 突然の音にピクッとして手足を伸ばす。
  • 眠っているときの突然の音に、目を覚ます。泣きだす。
  • 起きているとき、大きな音にまぶたを閉じる。
  • 泣いたり動いているときに声をかけると、泣きやむか動きを止める。
  • 近くからの声かけやガラガラにゆっくり顔を向けることがある。

2か月

  • 睡眠時の急な鋭い音に、手足をピクッとさせる。まばたきする。
  • 子どもの騒ぎ声・くしゃみ・時計や掃除機の音に目を覚ます。
  • 話しかけるとアー、ウーと声を出して喜ぶ。ニコニコする。

3か月

  • 睡眠時に突然音がすると、まぶたをピタッとさせたり指を動かすが、全身がピクッとなることはほとんどない。
  • ラジオ・テレビの音に顔や目を向ける。怒った声ややさしい声・歌・音楽に表情を示す。

4か月

  • 玩具・テレビ・戸の開閉に振り向く。
  • 名前をよぶとゆっくり振り向く。
  • 母の声や人の声に振り向く。
  • 不意の音・聞き憤れない音に顔を向ける。

5か月

  • 耳元の時計のコチコチ音に振り向く。
  • 録音された父母や自分の声を聞き分ける。
  • 突然の大きな音や声にぴっくりしたり泣きだす。

6か月

  • 話しかけるとじっと顔をみる。
  • 声かけに意識的に反応する。
  • テレビ・ラジオの音に敏感に振り向く。

7か月

  • 隣の部屋の音・外の動物の鳴き声に振り向く。
  • 歌を歌ってあげると口元を見つめ、ときに声を出して答える。
  • 音楽の変わり目にバッと目を向ける。
  • しかった声や近くで鳴る音に驚く。

8か月

  • 動物の鳴きまねにキャッキャッと喜ぶ。
  • 機嫌のよいときの声をまねるとそのまねをする。
  • 「コラッ」「タメッ」と怒ると手を引っ込める。
  • 近づいてくる音に振り向く。

9か月

  • 外の音に関心を示す。
  • 「オイデ」「バイバイ」の言葉に応じて動く。
  • 遠くからよぶとはってくる。
  • 音楽や歌に手足を動かして喜ぶ。
  • ちょっとでも変わった音にハッと振り向く。

10か月

  • 「ママ」「マンマ」「ネンネ」などをまねる。
  • そっと近づいてささやき声で名前をよぶと振り向く。

11か月

  • 音楽のリズムに合わせてからだを動かす。
  • 「~ちょうだい」にこたえ、「~どこ?」にはそちらを見る。
  • 隣の部屋の音に耳を傾ける。合図する。

12か月

  • 言葉による簡単な要求に応じる。

15か月

  • からだの部位を尋ねると指をさす。

 

子どもに先天的な難聴があっても、潜在的には聞こえのよい子どもと同じように言葉を覚える能力をもっています。治療で聴力の回復が見込めない場合でも、手話などで意思の疎通を図る手段もあります。

 

訓練の結果、90dB以上の重度難聴の子どもが補聴器を使いこなす例もあります。

 

 

失望しないで、子どもの言語習得能力をはぐくむことが求められます。

 

検査、診断、治療教育に一貫して取り組んでいる病院を選び、なるべく早く病状に適した補聴器の装用や聴能訓練などを開始し、療育を継続しましょう。

 

補聴器の上手な活用法

 

 

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