トップへ戻る

難聴の治療・予防|補聴器の上手な活用法など

目次

 


 

難聴の治療

 

難聴の治療・予防|補聴器の上手な活用法など

 

難聴を引き起こす原因疾患に応じた治療を行います。

 

中耳炎による難聴などの伝音性難聴の場合は、孔のあいた鼓膜や破壊された耳小骨の形成手術を行えば、聴力を回復させることができます。

 

しかし、感音性難聴の大部分は、一度失われた聴力を元に戻すことは困難です。したがって、進行を防ぐために行われる薬物療法が治療の中心となります。

 

 

老人性難聴騒音性難聴、音響外傷では、蝸牛内の感覚細胞や神経組織の働きを活発にするビタミン剤や代謝賦活剤が投与されます。

 

また、騒音下で仕事をする人には、耳栓やレシーバーを着用させて悪化をくい止めます。

 

 

突発性難聴では、ビタミン剤、代謝賦括剤とともに、ステロイドホルモン剤が投与されるのが一般的です。

 

ステロイドホルモン剤は、内耳の炎症を抑え、血行障害を軽減させる効果がみられます。通常、2~3週間にわたって使用し、少しずつ使用量を減らしていきます。蝸牛内の水分の排泄を促して血液循環をよくするために、利尿剤を使用することもあります。

 

 

薬物療法のほかに、内耳に高濃度の酸素を送り込む高圧酸素療法が行われるケースもあります。

 

 

突発性難聴の治療のポイントは、発症から1週間以内の早期に治療を開始することです。治療をしないまま2週間以上が経過すると、聴力改善の可能性は低くなり、1か月以上経過すれば回復の見込みはほとんどなくなると考えてよいでしょう。

 

聞こえの悪さに気づいたら、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。

 

 

薬剤性難聴では、ほかの感音性難聴と同様に、ビタミン剤、代謝賦括剤、血管拡張剤などが投与されます。薬剤性難聴は、高音域の聞こえにくさで始まるため気づきにくく、自覚するようになったときにはすでに高度難聴に進行していることもあります。

 

難聴を引き起こす可能性のある薬剤を使用する場合には、定期的に聴力検査をして、予防と早期発見に努めることが大切になります。

 

 

 

 

 

難聴の予防と日常生活の注意点

 

特に感音性難聴の場合は、相手が声を大きくしても聞きとることができないため、いらいらしたり、コミュニケーションを図ることに消極的になりがちです。

 

難聴の人が少しでも円滑に、安心して日常生活を送るためには、家族や周囲の人たちの理解と援助が何より大切です。

 

 

周囲の人は、難聴者に口の形や動き、顔の表情がよくわかるように、向かい合って会話をするようにします。

 

相手が口元を見て、話の内容をよく理解できるように、大きな声で一語一語ゆっくり、そしてはっきりと発音するように心がけましょう。

 

 

筆談によるコミュニケーションも有効な方法です。筆談は、筆記具さえあれば、誰でも正確に意思を表現することができます。

 

ただし、音声による会話と比べると、文字を書くのにどうしても時間がかかります。そこで、互いにわずらわしさを感じないように、よく使う言葉を記号化して単語帳にするなど、できるだけ簡略にする工夫が必要です。

 

 

高齢者の難聴は、長い期間にわたって少しずつ進行していくため、聞こえにくい状態に慣れてしまい、本人が難聴を意識していない場合があります。

 

そのため、周囲からいきなり難聴を指摘されると、ショックを受けたり、引きこもりがちになって認知症の引き金になるケースも少なくありません。

 

 

高齢者に対しては、「話が通じないから」とか「どうせ聞こえないから」といった理由で孤立させずに、家族とのコミュニケーションの場や時間を積極的につくるようにしましょう。

 

また、高齢者の場合、補聴器を装用しても扱い方や管理が難しく、十分に活用できないこともあります。家族も補聴器についての知識をもち、操作や管理を手助けすることが必要となります。

 

 

 

 

 

補聴器の上手な活用法

 

500~2,000Hz(ヘルツ)の音に対して両耳ともに30dB以内の聴力が、社会生活に支障のない「社会適応聴力」とされています。

 

補聴器は社会適応聴力に満たない聴力レベルの難聴の場合に用います。

 

 

一般に補聴器は、全周波数の音に対して音量を上げる小型の拡声器のような構造となっていて、難聴の人に大声で話しかけるのと同じような役割を担っています。

 

そのため、伝音性難聴や語音明瞭度が良好な人には非常に効果的ですが、感音性難聴のように音の分析能力の低下した難聴者には、あまり適しているとはいえません。

 

感音性難聴の人が補聴器を使う場合は、その人の聞こえの状態に合わせた調整が必要になります。

 

 

現在、普及している補聴器には、箱型、耳かけ型、挿耳型などの種類があります。

 

 

箱型は市販されている補聴器のなかで最も大きく、胸ポケットなどに入れて使用します。音の増幅度が大きいため、高度難聴者に適しています。

 

耳かけ型は比較的小型で、耳の後ろにつけて使用するもので、軽度から中等度の難聴者に適しています。

 

挿耳型(カスタム型)は、耳介から外耳道の中に直接入れて使用するもので、装用していることを周囲の人に気づかれにくい半面、音量調節のスイッチなども小さいため、高齢者には扱いにくいといった難点があります。

 

 

このほか、補聴器を使っていることが他人からわかりにくいという特徴を備えた、眼鏡のフレーム内に補聴器を装着したものもあります。

 

 

補聴器を上手に使いこなすためには、まず専門医による聴力検査や指導を受けたうえで、難聴の種類や程度、使用目的に最も適した器種を選択し、事前に周波数などをきちんと調整しておくことが大切です。

 

また、スイッチ操作やボリューム操作の方法、電池交換の時期などを十分に理解して、装用訓練を行うことが必要です。

 

 

高度難聴者のリハビリテーション

 

高度難聴では、補聴器の効果は期待できないため、手話や指文字など新しいコミュニケーションの方法の習得が必要になります。

 

手話や指文字は、筆談のように時間がかからないため、わずらわしさがなく、しかも読みとりやすいコミュニケーションの手段です。

 

 

ただし、手話を自由自在に使いこなし、話し言葉と同程度に自分の意思を表現できるようになるまでには、長期間のリハビリテーションを行わなくてはなりません。

 

また、手話は難聴者本人だけが習得しても、周囲に手話を理解できる人がいないと役に立たないので、家族も一緒に習得訓練を行うなど、協力や援助が重要です。

 

難聴になると、社会生活を送るうえで不自由を感じたり、さまざまな支障をきたすようになるため、大きな不安や精神的ストレスを抱えがちです。

 

しかし、最近は補聴器の性能も向上し、人工内耳の手術が行われるなど、高度の難聴に対応する治療法が開発されつつあります。また、パソコンやスマートフォンの普及で通信は多様化し、聴覚障害者にとっても新しいコミュニケーションの手段が増えてきています。

 

 

悲観的になったり、あきらめたりしないで、パソコンやスマートフォンなどを上手に活用して、生活の質を向上させる努力が大切です。

 

高齢社会を迎え、老化に伴う聴覚障害は今後さらに増加することが予想されます。また、ヘッドホンで大音量の音楽を聞くことに起因する若年層の難聴や、肉体的・精神的ストレス、不規則な生活などが誘因と考えられる突発性難聴も目立ってきています。

 

 

難聴を誰にも起こりうる身近な問題としてとらえ、正しい知識を身につけ、理解を深めていくことが重要です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

関連ページ

【中耳炎】 中耳炎とは?子どもが中耳炎にかかりやすい理由
中耳炎には、急性中耳炎、滲出性中耳炎(しんしゅつせい)、慢性中耳炎などがあります。なかでも、急性中耳炎と滲出性中耳炎は子どもによくみられる病気ですが、処置をあやまると慢性化したりあとあとまで難聴に苦しむことになるため、早めの治療が大切です。
【中耳炎】 急性中耳炎の原因・症状・診断・治療
急性中耳炎は、インフルエンザ菌やブドウ球菌、肺炎球菌などの菌やウイルスに感染して起こります。風邪をひいたり、鼻や喉の炎症から耳管を通して発病することが多く、冬によくみられます。
【中耳炎】 滲出性中耳炎の原因・症状・診断・治療
滲出性中耳炎は、別名中耳カタルとよばれます。中耳腔に、組織からしみ出る滲出液(血管から血管壁を通って出てきた血液中の細胞を含む液体)がたまり、鼓膜の振動や耳小骨の動きが抑えられて難聴になります。
【中耳炎】 慢性中耳炎の原因・症状・診断・治療
慢性中耳炎は、中耳炎が慢性化し、中耳の粘膜や骨がおかされて耳ろうや難聴を起こしている状態をいいます。鼓膜に穴が開く慢性化膿性中耳炎と、中耳腔に皮垢(皮膚の垢)の硬いかたまりができる真珠腫性中耳炎が代表的です。
【難聴】 難聴とは?難聴の種類(伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴に分類)
難聴は耳の聴覚伝導路が障害されることによって聴力が低下するもので、重度になると日常生活に支障をきたすようになります。また、パソコンやスマートフォンの普及で通信は多様化し、聴覚障害者にとっても新しいコミュニケーションの手段が増えてきています。
【難聴】 難聴の原因と症状(老人性、騒音性、突発性、薬剤性、機能性)
老化とともに起こる老人性難聴、騒音下での仕事に起因する騒音性難聴、突然片耳が聞こえなくなる突発性難聴、薬の副作用による薬剤性難聴、聴覚伝導路には障害のない機能性難聴の原因と症状を解説します。
【難聴】 難聴のさまざまな聴力検査と診断
難聴の性質や原因などを正確に診断することが、適切な治療に結びつきます。そのためには、発症時期、経過、程度、難聴に伴う症状の有無などを問診によって把握することが必要です。難聴が急激に起こったのか、徐々に聞こえが悪くなったのかどうかで原因を推察します。
【難聴】 子どもの難聴の原因・症状・予防・難聴の遺伝など
難聴の子どもは言葉を覚える能力はありますが、音の一部あるいはほとんどが聞こえないため、言葉による情報を十分に、ないしはまったく知覚することができません。放置すると言葉を覚えることができなくなります。このため、知的障害と間違われることがあります。重度の難聴は、音に対する反応がないことから乳児期に親が気づくケースが多いのですが、軽度の難聴の場合は大きな声には反応するので気づくのが遅れます。
【メニエール病】 の原因・症状・検査・治療・予防|メニエール病の主症状はめまい
メニエール病は、前ぶれもなく現れる「ぐるぐる回る感じ」のめまい発作で始まります。めまい発作、難聴、耳鳴りがメニエール病の3大症状といわれます。めまい発作が繰り返し起こると難聴、耳鳴りが悪化します。

このページの先頭へ戻る